それにもかかわらず、大韓サッカー協会が中国との強化試合を推進したのには二つの理由があった。第一に、9月に開催される杭州アジア大会で金メダルを狙うU-24韓国代表チームが現地に慣れるためだ。事実、2度の強化試合が行われた中国浙江省の金華スタジアムは杭州アジア大会男子サッカー競技場の一つだ。第二に、組織力強化のためだ。アジア大会では中国を含め激しいサッカーをする国が多いが、これを事前に経験した上で息を合わせてプレーしようという意図だったというのだ。
それでも、「アジア大会前の事実上最後の強化試合としては不適切な目的だった」という意見が大多数だ。実際に、今回の強化試合2連戦ではアジア大会に出場する最終エントリーの選手を選ぶどころか、中核の3選手が負傷するという事態になった。精密検査を控えている3選手がアジア大会で復帰できるかは未知数だ。また、ラフなサッカーにどう対応するかという戦略も黄善洪監督は見いだせていない。ロングパスに続くヘディングという攻撃戦術ばかりだった。
中国は「恐韓症」を乗り越え、大いに盛り上がった。中国メディアの「新浪体育」は20日、「中国の勝利を数万人のファンが見守った。中国は後半の韓国の逆襲に慌てず、大きなミスもなく着実にプレーした」と評価した。韓国が同年代(23歳以下)の直接対決で中国に敗れたのは2012年12月以来11年ぶりのことだ。対戦成績は12勝2敗3分。杭州アジア大会は新型コロナウイルス感染症の世界的流行で1年延期され、今大会限定で24歳まで出場年齢が引き上げられた。
しかし、黄善洪監督は「予防注射」を受けたと考えている。黄監督は試合終了後、「アジア大会でもこれくらいのラフプレーなどはあり得る。それに適応するのも前向きだと思う」と言った。だが、負傷者については無念の思いを口にした。黄監督は「負傷者が多く出たのは残念だ」「大きなけがではないことを祈るばかりだ」と語った。
イ・ヨンビン記者