福島原発事故前に生産された塩、韓国で相場の38倍で販売…専門家「無知と恐怖心につけ込んだ詐欺」

 日本の福島原発の処理済み汚染水放出を控え、韓国で食塩の品薄状態が続く中、これを悪用して相場より数十倍も高い価格で食塩を販売するケースが増えている。

 ネイバーのショッピングサイトをはじめインターネットの中古品取引サイトでは21日現在、20キロ以上の大容量の天日塩が多数出品されている。価格はほとんどが6-8万ウォン(約6000-8000円)で、一部は生産時期によって価格に差をつけている。

【写真】天日塩の放射能安全性検査を行う研究員

 これらの出品価格は、全国の天日塩の85%を取り扱う全羅南道新安郡の直売所が8日に公示した価格(21年産、20キロ3万ウォン〈約3000円〉)の2倍以上だ。

 生産時期が福島の原発事故発生前の商品は価格がさらに跳ね上がっている。農産物を販売するオンラインストアでは、2010年産の天日塩30キロが150万ウォン(約15万円)で売られていた。同様のショッピングサイトで売られているものと比べ、38倍も高い。商品の説明欄には「福島(原発事故)発生前に買ったものです。塩のせいで大騒動になっているので、今販売します」と書かれており、塩の品薄状態を意識して最近になって販売を始めたことがうかがえる。

 こうした動きをめぐり、専門家の間では「無知と恐怖心につけこんだ詐欺」との指摘が出ている。汚染水で焦点となるトリチウムは、天日塩の生産過程で水と一緒に蒸発するからだ。むしろ、干潟にプラスチック製の板を敷いて生産する天日塩にはマイクロプラスチックが残存しており、そちらの方が有害だ。

 韓国海洋水産部(省に相当)も16日の記者会見で、福島の原発事故以降286回にわたって天日塩の放射能検査を実施し、放射性物質が検出されたことは一度もなかったと明らかにした。

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  • ▲(左)オンラインストアで販売されている2010年産の天日塩。30キロ150万ウォンと書かれている。(右)2021年産の天日塩を20キロ入り100袋1000万ウォンでまとめ売りすると書かれている。/写真=オンラインストア、中古取引サイトより

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