韓国原子力学会チョン・ボムジン教授「われわれは科学者だ…専門家が声を出さなければ国民に被害」(上)

【インタビュー】韓国原子力学会で6000人署名の先頭に立つ慶熙大学原子力工学科のチョン・ボムジン教授

韓国原子力学会チョン・ボムジン教授「われわれは科学者だ…専門家が声を出さなければ国民に被害」(上)

 6000人の会員を有し韓国の原子力分野では最高の権威を持つ韓国原子力学会は20日に声明を出し、日本の福島汚染水への恐怖をあおる勢力に公開討論を呼び掛けた。原子力学会でイシュー(重要問題)委員長を務め、今回の声明でも中心的な役割を果たしたチョン・ボムジン首席副会長(慶熙大学原子力工学科教授)は21日に本紙のインタビューに応じ「明確な事実を語る科学者をインチキ呼ばわりし、国民を扇動する勢力を知識人としてこれ以上見過ごすことはできなかった」「公開討論が実現すれば、国民は、誰が正しいことを語り、誰が間違っているかを理性的に判断できるはずだ」と述べた。

【写真】福島汚染水への懸念点、KBSラジオ番組司会者への反論が話題のチョン・ボムジン教授

 チョン副会長は「福島での汚染水放流が危険でないことは数字が立証している」と語る。チョン副会長は「2011年の福島原発事故当時、1日300トンの汚染水が海に流れ出したが、これまで韓国でその影響は確認されなかった」「現在日本で処理されている汚染水はその放射性物質が2011年当時の0.05%にもならない」と説明した。にもかかわらず国民が不安を感じることについて「狂牛病やTHAAD(高高度防衛ミサイル)事態の時と同じく国民が科学に親しみがないことと、それを悪用する一部勢力の扇動が原因だ」「日本に対する敵対心を刺激する行動や政治ファンダム(熱心なファンの集団)などを利用して国民を欺いている」と指摘した。

-学会は昨日公式声明を出した。今行動を始めた理由は。

 「知識集団としての責任感だ。狂牛病当時のように科学的に全く危険性がないにもかかわらず無用な被害が発生している。専門家が声を出さなければデマが拡大し、最終的に漁業関係者などが被害者になる」

-福島から汚染水が放流されても安全という根拠は。

 「2011年の福島原発事故当時、高濃度の放射性物質を含む汚染水が1日300トン海に流れ出した。しかしこれまで韓半島には何の影響もなかった。2001年から測定を続けてきた韓半島周辺の放射能濃度の数値からこれは分かる。数字はうそをつかない。これから日本が放流する放射性物質は事故当時の0.003-0.05%に過ぎない。

-韓国の海域に汚染水が流入しないとしても、日本の船が平衡水を排出すれば汚染水の影響を受けるとの指摘もある。

 「セシウムのような放射性同位元素は多核種除去設備(ALPS)で基準値未満にまで取り除かれる。トリチウムだけは除去されないが、日本の排出基準は1リットル当たり6万ベクレルだ。日本はこれを海水で希釈し1500ベクレルに下げると説明している。放流口から3キロ沖合に行けば100ベクレルにまで下がる。これは漢江と同じレベルだ。世界保健機関(WHO)が定める飲用水の基準は1万ベクレルだ。船舶が日本の海域で補給した平衡水を排出しても全く問題はない。

-最近福島原発沖合で水揚げされた魚から基準値以上の放射性セシウムが検出され問題になっているが。

 「港湾周辺の防波堤の内側を内港というが、日本は福島原発事故後、内港と港の入り口から20キロ沖合で放射能濃度を監視してきた。2013年以降、内港の外では基準値を下回っている。今も内港の縁では放射能に汚染された魚が水揚げされているが、これは食用ではなく放射能濃度を調べるために捕った魚で、2011年に放流された大量の放射性物質の影響を受けた魚だ。日本が今後放流する汚染水との因果関係は全くない。結論から言えば食卓に上る魚は安全だ」

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