基礎学力水準を下回る韓国の中高生、文政権による「全数評価廃止」後に増加の一途

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 韓国の中学生・高校生の基礎学力水準が低下し続けている。生徒の負担を減らすという名目で学業達成度評価を一部のみにとどめ、画一的平等教育政策を推進した結果だという指摘が出ている。ここに、新型コロナ期間も重なった。

 韓国教育部(省に相当)は21日、「公教育競争力底上げ案」を発表するとともに、昨年11月に行った「国家水準学業成就度評価」の結果を公開した。評価の結果、中学3年生は国語の科目で基礎学力未達の生徒が11.3%いた。前年度(6%)より2倍近く増えていて、2017年(2.6%)と比べると5倍に近い。数学は2017年の未達7.1%から今年は13.2%へ、同じく英語は3.2%から8.8%へと増加した。高2の場合も、国語科目の基礎学力未達の割合は2017年の5%から昨年は8%に増加した。同じ期間に数学の未達は9.9%から15%に、英語は4.1%から9.3%に増えた。文在寅(ムン・ジェイン)政権が2017年に学業達成度評価の対象を「全数」から「3%標本抽出(ランダムサンプリング)」に縮小した後、基礎学力未達の生徒が毎年増加しているのだ。教育部の担当課長は「これからは評価を拡大し、基礎学力を備えて上の学年に進めるように、徹底して指導したい」と語った。

 教育部は、公教育強化案としてさまざまな類型の学校を作ることとした。例えば、米国の「チャータースクール」のように、政府から予算はもらうが教育課程を独自に運営する一般公立高校を育成することとした。企業や教育財団が教育庁と協約を結び、共に革新的な教育課程を運営することができる。教育部のキム・ヨンソク責任教育政策官は「大手芸能プロダクションのSMエンターテインメントが運営する『Kポップスクール』や代案学校など、さまざまなカリキュラムの学校が作られれば、生徒は公教育内で適性と興味に応じて学校を選択し、教育を受けられるだろう」と語った。教育部では、自律型公立高校の成功モデルが出てくれば中学校にも適用する案も検討する予定だ。

 また教育部は、文在寅政権が一般高校に転換しようとしていた自律型私立高校と外国語高校、国際高校を、全て存置することを確定させた。さらに、既存の外国語高校や国際高校の中で希望する学校に対しては、両校の教育課程を共に運営する「国際外国語高校」へ転換することを許容するとした。

 生徒たちが興味と適性に応じて希望する科目を選んで受講する「高校学点(単位)制」は予定通り現在の中学2年生が高校へ進む2025年に全面実施する。高校学点制において主に2年・3年時に受講する「選択科目」は、相対評価ではなく絶対評価で内申成績を算出することとした。相対評価で試験を行ったら、受講したい科目ではなく点数を稼ぎやすい科目を選ぶという副作用が生じかねないからだ。だが1年時に主に受講する共通科目は、9等級の相対評価を維持することとした。1学年まで絶対評価で進めると内申の弁別力が過度に低下する、との指摘に基づくものだ。

 教育部はまた、学校での体育活動を拡大することとした。体育の時間だけでなく朝や昼休みなど、隙間の時間に体育活動を拡大するようにし、ロッカールームやシャワールームなども増やす計画だ。「副総理杯学校スポーツクラブ混合チーム全国大会」も新たに導入し、学校スポーツクラブが活発に運営され得るようにする計画だ。学校別に芸術教育も拡大する。今年、生徒一人が一つは特技を持てる「一人1特技」学校モデルを開発する予定だ。教育部は、華城・烏山教育支援庁が運営するアコースティックギター教育を例に挙げた。同庁管内の小学校25校の5・6年生児童は、放課後の時間や正規の授業時間にアコースティックギターを習い、これが特技になるというわけだ。教育部は、来年には「一人1特技」学校を100校で試験的に運営し、これらの学校には楽器の購入費などを2000万ウォン(現在のレートで約220万円)ずつ支援する。試験運営の結果を見て、再来年には17市・道1700校に拡大し、2026年には全1万1000校で運営する計画だ。

キム・テジュ記者

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