共に民主・都鍾煥議員の「選択的追悼」【コラム】

 韓国の進歩(革新)系最大野党・共に民主党の都鍾煥(ト・ジョンファン)議員は6月17日(現地時間)、チベットのラサで開かれた第5回チベット観光文化国際博覧会の演壇に立った。「都鍾煥先生、韓国議員代表団団長」という背景字幕が中国語・チベット語・英語で流れた。都議員は2人目の外賓として演壇に上がり「韓中文化交流のため訪問した団長、大韓民国国会議員」と自己紹介した。チベット共産党の党書記などに向けて腰を折ってあいさつもした。

 都議員の祝辞は3分40秒続いた。「ラサは西蔵自治区の心臓、チベット人にとっては宗教的・民族的聖地」「チベットの歴史的努力と独特な芸術的魅力を深みをもって感じられる」…中国政府がチベット独立運動を隠して「社会主義新時代チベット」として飾るための官製イベントにおいて、都議員は韓国国会代表の資格でこのように語った。西側の関係者はこのイベントに出席しなかったという。

 しかも都議員は行事の後、韓国の取材陣と会った席で「観光文化博覧会であって、今韓国国内で何か良くない世論があるのかどうかよく分からない」と語った。取材陣に向けて「否定的な世論をつくろうとしているのか」とも言った。中国のチベット人権弾圧論争を希釈する懸念があるということについては「チベット観光・新再生エネルギー・気候変動などに関して話したのであって、今語ったこと(人権弾圧)をテーマに博覧会をするわけじゃない」と言い返した。

 こうした都議員の発言に、中国政府は満足したことだろう。中国政府は都議員をはじめ、「共に民主党」の朴釘(パク・チョン)、キム・チョルミン、柳東秀(ユ・ドンス)、金炳周(キム・ビョンジュ)、閔炳徳(ミン・ビョンドク)、申賢栄(シン・ヒョンヨン)議員の旅行経費を出した。1950年の中国共産党の侵略で主権を失い、他国の地でおよそ70年も独立運動を続けているチベットについて、韓国の国会議員代表が見せた態度が「よく分からない」だったのだから、中国としては「コスパ」のいい投資だった。

 「タチアオイのあなた」という詩で有名になった都議員は、93年に詩集『あなたは誰ですか』に5・18(光州事件)追悼の詩を収録したことがある。「年々、5月は青い朝と共に来はするけれど/まだ命を懸けた戦いは終わっていません/取り戻すべきものを大声で呼び/天の中ほどに命を差している人々と/投じるはずのものを既に全部投じた気持ちで/まだ生きて戦っている人々の/終わらない5月の朝を歩いていきます」(5月の朝)

 およそ70年の間に、中国の共産化に抵抗して虐殺されたチベット人は100万人以上と推定される。韓国の5・18光州民主化運動の犠牲者は、ほとんどが民主化有功者となって無念を晴らし、現職大統領が記念式典に出席する。しかし中国の政権はチベットの人権弾圧を認めぬまま、韓国の国会議員を自分たちのカネで呼び、独裁を正当化した。都議員があの演壇でチベットを「純粋で美しい神秘の地」と言っていたとき、その胸に「タチアオイのあなた」の詩心はあっただろうか。「まだ生きて戦っている人々」のことを考えたかどうかも尋ねたい。

ウォン・ソンウ記者

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