人口17万人の島根県出雲市、露・東欧のIT人材を受け入れへ

 日本のある地方都市が、ウクライナ情勢に伴う混乱により海外で就職を希望しているロシア・東欧の情報技術(IT)人材を多数受け入れている。受け入れにより自治体でIT産業を育成し、立ち遅れた行政システムもアップグレードするチャンスにしようというのだ。BSS山陰放送など現地メディアが26日に報道した。

 報道によると、島根県にある人口17万人の出雲市は先月末、ロシアや東欧のITエンジニアを受け入れるための官民共同出資による新会社「People Cloud(ピープル・クラウド)」を設立したとのことだ。資本金は1000万円で、出雲市、島根中央信用金庫、地元IT企業3社が共同出資した。NHKは「このプロジェクトはウクライナ情勢を地域発展のチャンスに活用しようというもの」と分析している。出雲市は「多くの時間と資源が投入されるIT企業の海外人材誘致を地方自治体が支援して迅速に進め、企業技術力向上と地域グローバル化を成し遂げようという趣旨」と説明した。

 ロシアや東欧諸国はこれまで、米国など西側諸国と競争する過程で高度なIT教育を実施し、ノウハウを蓄積してきた。しかし、そうして育成されたIT人材の多くが昨年のロシアによるウクライナ侵攻後、西側諸国の制裁措置などにより仕事を失い、海外に就職先を求め始めている。

 こうした状況を知った出雲市では、人材を受け入れるための戦略を立てた。まず、ピープル・クラウドが公開募集を通じて海外のIT人材に6カ月間、オンラインで日本語のレッスンを行う。その後、出雲市に招き、約2週間にわたり企業訪問や面談実施をサポートする。そして、現地での就職と移住・定着までを総合的に支援するというものだ。

 ピープル・クラウド設立以降、先日まで約1カ月間行われた募集には、ロシアやベラルーシなど17カ国からIT人材100人以上の応募があった。年内に受け入れる人数の当初目標だった40人をはるかに上回り、途中で募集を中止しなければならないほど反響が大きかったという。志願したあるロシア人のITエンジニアは「経済制裁により西側から入ってきたソフトウェアがロシアで事実上、使えなくなり、もうこれ以上エンジニアとして仕事ができない環境になってしまった」と話した。

 出雲市はIT人材を受け入れることにより、アナログのままになっている自治体行政システムをデジタル化することも計画している。事実、ピープル・クラウドの第1陣派遣団としてこのほど出雲市で暮らすことになったロシア出身のスタニスラフ・シェフツォフさん(33)は1週間でスマートフォン位置情報と公共交通機関利用者数などのデータをもとに、地域別の人出を予測するシステムを開発した。これを人工知能(AI)と融合させれば、自治体が特定のエリアに道路や停留所など基幹施設を建てる際にどれだけ効果があるかが予測可能になるという。

 ピープル・クラウドは今年から、今後のウクライナ情勢に関係なく、東欧の人材の受け入れを加速させる方針だ。日本の各メディアは「先端技術開発だけでなく、都市消滅克服やグローバルな広報まで融合させた出雲市の『挑戦』が注目されている」と報じている。

キム・ドンヒョン記者

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