韓国与党、国連総会に福島原発汚染水問題の持ち込み図る共に民主を「国際的な恥さらし」と批判

 韓国野党・共に民主党は、オーストラリアなど18の太平洋島しょ国に対し、日本の福島原発汚染水海洋放出問題での連帯を訴えたのに続き、27日にはこの問題が国連定期総会で案件として指定されるよう促す国会決議案を発議する予定だと明らかにした。このため、「デリケートな懸案について野党は国外にまで持ち出して政治争点化し、韓国憲法が保障している『外交行為の単一性』という原則を破り、外交の実務現場で混乱をあおっている」との指摘が出ている。

【図で見る】太平洋の海流

 共に民主党内の議員グループである民主平和国民連帯(民平連)は同日、「福島原発汚染水問題を9月に開催される国連総会で緊急かつ重要な議題として取り上げるための国会決議案採択を推進する」と明らかにした。国際原子力機関(IAEA)の検証結果は信頼しがたく、国際社会の注意が必要な問題なので、これを国連に持って行って取り上げようということだ。しかし、IAEAも加盟国が176カ国(今年5月現在)に達しており、国際社会の民意が反映される構造になっているため、日本が反対することが明白な問題の案件指定は現実的に見て容易でない。国連加盟国は総会開会30日前まで、あるいは開会中に重要かつ緊急だと判断される「追加案件」を提出することができるが、正式議題として採択されるには加盟国の過半数の賛成が必要だ。それにもかかわらず、野党はアントニオ・グテーレス国連事務総長に会う議員代表団の派遣を推進すると表明した。だがその一方で、「IAEAばかりに気を取られるな」という声もある。元外交部高官は「野党議員が米ニューヨークに行って国連代表部と違う話をすれば、それこそ『外交惨事』になるだろう」と語った。

 18カ国に書簡を送った野党が、「返信を総合してブリーフィング(説明)する」と明らかにしたことも議論の的になっている。韓国政府高官は「野党が各国の見解を整理して自主的にブリーフィングを始めれば、政府と機能が重なり、この過程で政治的・恣意(しい)的な解釈が加わって外交上の礼を欠いたり、確執を生んだりする可能性も捨てきれない」と話す。共に民主党は昨年11月、「駐韓欧州連合(EU)大使が李在明(イ・ジェミョン)代表と会った際、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の対北朝鮮政策を批判し、金大中(キム・デジュン)政権・盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の味方をした」と言って抗議を受け、謝罪している。国会多数党である野党が政府とかみ合わないだけでは済まず、これを国外に持ちだして政治争点化すれば、韓国政府の対外交渉力が弱まるだろうとの懸念もある。

 事実、野党の書簡を受け取った一部の国では、既に外交ルートを通じて「韓国の政治状況は分かるが、対処に困る」と言ってきているという。韓国政府は先月、ソウルで開催した「韓・太平洋島しょ国首脳会議」で福島原発汚染水問題に対する協力を約束したが、野党がこれとは食い違う主張をしているためだ。韓国外交部関係者は「政府は議会外交そのものに反対するのではない」としながらも、「遺憾の意の発表を決めたのは、一部の国の方から先に『書簡を受け取った』と知らせてきたためだ」と説明した。与党・国民の力は「国連という特性上、国の立場を表明するのが正常なのに、共に民主党は何の代表性があってそのような主張をしているのか分からない」「国際的な恥さらし行為はやめよ」と述べた。

金隠仲(キム・ウンジュン)記者

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