韓国から「消える赤ちゃん」がいなくなるように法改正

「出生通報制」韓国国会本会議で可決

 韓国与野党は30日、国会本会議で「出生通報制」導入のための「家族関係登録などに関する法律」の改正案を可決した。出席267議員のうち賛成266、反対0、棄権1という圧倒的な票差だった。反対が0ということは、与野党共に出生通報制の導入について認識を共にしているという意味だ。出生通報制とは、父母が出生届を提出せずに「消えた赤ちゃん」となるのを防ぐため、医療機関が健康保険審査評価院を通じて出生情報を地方自治体に通報するようにする制度のことだ。

 先月の監査院監査により出生届が提出されていない乳幼児2236人の存在が確認されたことや、「冷蔵庫乳児遺体事件」などの殺害・死体遺棄事件の実態が相次いで明らかになったことから、与野党では出生届制の法制化に遅ればせながら本腰を入れていた。出生通報制に関する法案は第21代国会(2020年5月30日から現在まで)だけでも11件発議されている状況だった。

 出生通報制の法案によると、子どもが生まれたら医療機関の長は出生14日以内に関連情報を審査評価院に送らなければならない。出生情報には、生まれた日付と時間・性別・実母の名前・住民登録番号などが含まれる。審査評価院はこの情報を受け取り、実母の住所地を管轄する自治体の首長に通報する。地方自治体は審査評価院の出生情報と子どもの父母の出生届を比較・確認し、出生届を提出していない父母には7日以内に出生届を出すよう督促しなければならない。父母が応じない場合、自治体の首長は職権で家族関係登録簿(日本の戸籍簿に該当)に出生を記録するよう規定している。これにより、少なくとも病院で生まれた乳児は出生届未提出による悲劇を免れることができる見通しだ。韓国政府と病院はこれまで乳児の出生届を確認しておらず、父母は出生届を出さなくても「過料5万ウォン(約5500円)」を科せられるだけだった。出生通報制は医療機関と政府のシステム構築などのため、公布1年後に施行される予定だ。

 今回の改正案には医師の出生証明書の代わりに消防救急隊の救助・救急活動状況日誌でも出生届が提出できるという内容も盛り込まれている。医療機関以外で出生した場合、出生届の書類の準備が難しいという現状を考慮したものだ。

キム・テジュ記者

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