IAEAの安全評価が今後も守られるか、福島放射能の監視を続けるべきだ【7月5日付社説】

IAEAの安全評価が今後も守られるか、福島放射能の監視を続けるべきだ【7月5日付社説】

 国連の保護下にある国際原子力機関(IAEA)は4日、日本政府に福島汚染水海洋放出の安全性に関する最終報告書を提出し、その中で「海洋放出計画は国際的な安全基準を満たしており信頼できる」と評価した。これを受け日本の原子力規制委員会が予定通り数日中に海洋放出施設の検査合格証を交付すれば、海洋放出に向けた事前の手続きは全て終了する。日本政府は今年夏には汚染水海洋放出を開始すると予告してきた。IAEAのグロッシー事務局長は7日に来韓し、報告書の内容について韓国政府にも説明を行う予定だ。

 2011年の東日本巨大地震による津波が原因で発生した福島第一原子力発電所事故当時、海に流出した放射能のうち最も危険なものはセシウム137だが、その総量について専門家は「現在福島の保管タンクに貯蔵されている放射能総量の2万-3万倍以上に達していた」と分析している。それが海に海洋放出されたのだが、その後韓国で7万件以上行われた水産物検査は全て問題なかった。そのため当時の2万-3万分の1しかない今の福島汚染水を浄化し、30年掛けて少しずつ海洋放出するのであれば、韓国の海域に有意な影響はないと研究者は予想している。

 ただし科学的な分析や評価と国民の主観的な不安は決して同じではない。最近の世論調査では78%が「(海洋や水産物の)汚染が心配」と回答した。とりわけ野党・共に民主党が総力を挙げて水産物汚染の可能性を主張していることもあり、国民の不安は収まる気配が見えない。

 韓国政府は3日「IAEA報告書の内容とは関係なく、国民が安心するまで10年でも100年でも福島の水産物輸入を禁止する」と発表した。これは国民の不安解消のためやむを得ない措置だろう。韓国政府は沿岸の海水や水産物、船舶の平衡水などに対する放射能検査も続けるべきで、その結果も透明に公開し、国民の信頼を積み上げていかねばならない。福島からの海洋放出は今後30年続く。日本から海洋放出されるプロセスや放射能の現状に関する詳細な資料の提供を受ける仕組みも構築すべきだ。海洋放出施設はもちろん、それが故障した場合の代替施設の性能が今後も維持されるかも確認しなければならない。

 共に民主党は「IAEAの資料も信頼できない」と主張してきただけに、今後も海洋放出反対の姿勢を取り続けるだろう。しかし今回は狂牛病事態の時とは多くの点で状況が違っている。科学者たちは積極的に国民に説明を行っており、狂牛病やTHAAD(在韓米軍の高高度防衛ミサイル)電磁波問題を経験した国民も「科学的な説明」と「デマによる扇動」を混同はしないはずだ。科学技術で製造された製品を全世界に輸出し、世界10位圏の経済を維持している国において、原子力界で最も権威ある国連機関が米国、フランス、スイス、オーストリア、韓国など主要国と協力して進めてきた評価を否定すれば、これは一時的には国民を惑わすことができても、継続して支持を得るのは難しいはずだ。共に民主党は狂牛病事態を起こした勢力に対する国民の今の評価を冷静に見極め、国際的な規範に見合った行動を取るべきだ。自分たちの行動が韓国の水産業界にどれほどの被害をもたらしているかも直視しなければならない。

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