韓国野党・共に民主党が尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏一家に対する特別待遇疑惑が指摘されたソウル~楊平高速道路事業が急きょ白紙化された。与野党による政争の結果、2017年から推進されてきた国策事業が一夜にして取り消されたのだ。 与党が「どんな決定や釈明を行っても、野党は引き続き疑惑を提起するはずだ」と批判する一方で、野党は「やましいから白紙化したものだ」と主張した。しかし、与野党がいずれも市民生活に直結する高速道路整備という政策自体ではなく、疑惑提起と責任回避という政治的論理が先行させているという点では大差なかった。高速道路を巡る混乱は、政策、科学的根拠、事実よりも政治的利益を優先し、罪のない国民だけが被害を受けるという点で、福島汚染水放出を巡る政治的対立とも似ていると指摘されている。楊平郡は「白紙化とは想像もできないことだ。一切の政治的争点化をやめてもらいたい」と不満を述べた。
元喜竜(ウォン·ヒリョン)国土交通部長官は6日、国民の力との政府・与党協議会を終えた後、「金建希夫人が(土地を)処分しない限り、民主党のコバエのような扇動は止まないだろう」と述べ、事業の全面中断を宣言した。同時に「民主党の扇動に国力を浪費することはできない」とし、「いくら事実を説明しても、金建希夫人を悪魔扱いするためのフェイクニュースをやめさせる方法はない」と話した。
今回の疑惑はソウル~楊平高速道路の当初路線とは異なる代替案が5月に示されたことがきっかけだった。代替案の終点である楊平郡江上面に金建希夫人一家が保有する土地が多数あるためだ。これについて、国土交通部は代替案が確定したわけではないと説明したが、共に民主党は「檀君以来(建国以来)最悪の利権カルテルだ」として疑惑を指摘した。民主党は「真相究明タスクフォース(TF)」を設置し、監査院による監査、国政調査を推進することを決めた。TF団長を務める姜得求(カン・ドック)議員は「高速道路の終点からわずか500メートルの距離に夫人一家所有の土地があることが相次いで判明している」とし、「(路線が変更されれば)何の役にも立たない土地が黄金の土地に変わりかねない」と述べた。
福島汚染水問題に関連し、与野党は同日、事態打開に向けたいかなる交渉も行わなかった。政界では市民生活よりも政治的判断が優先なのだ。
趙儀俊(チョ・ウィジュン)記者