「日本を国際海洋法裁判所に提訴せよ」「最大の取引先・中国にセールス外交を行え」 共に民主党が韓国政府に注文

 韓国野党・共に民主党は11日、福島原発汚染水処理後の放流を計画している日本を国際海洋法裁判所に提訴せよと主張した。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領には「韓日首脳会談で岸田文雄首相に汚染水放流の保留を要求せよ」と求めた。その一方で尹錫悦政権に対中政策と関連して「最も大きな取引相手を無視するなどあり得ない」として「中国にセールス外交を行え」とも要求した。 

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 共に民主党の朴光温(パク・クァンオン)院内代表は11日午前に開催された同党の院内対策会議で「共に民主党は福島核物質汚染水海洋投棄ではなく、全ての国と日本の漁業関係者、そして韓国国民にとってより良い方策を見いだすため実効的な代案を提示してきた」として韓国政府に「3大措置」を要求した。

 その第1として朴院内代表は北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席するため10日にリトアニアに向かった尹大統領に対し「韓日首脳会談で日本に福島核物質海洋投棄の暫定保留を要求せよ」と求めた。韓国政府は、NATO首脳会議出席のため現地に滞在している岸田首相と尹大統領の首脳会談に向け調整を進めているが、この首脳会談で汚染水放流の中止を要求せよというのだ。朴院内代表は「大統領室は国民の健康と安全を最優先に考えた上で政府の立場を伝えると表明した。それなら海洋投棄を保留させることが答えだ。これを貫徹するよう願う」と述べた。

 朴院内代表は重ねて韓国政府に対し「国際海洋法裁判所に(日本を)提訴し、同時に直ちに暫定措置を請求せよ」とも求め、また今年開催されるロンドン議定書当事国総会では「福島汚染水放流を議題にせよ」とも主張している。ロンドン議定書は廃棄物の海洋投棄を禁じる国際条約で、文在寅(ムン・ジェイン)前政権は2019年からロンドン議定書総会で福島汚染水放流を問題提起してきた。ただし汚染水が通常の海水レベルに浄化されるのであれば、この議定書で放流を阻止することはできない。しかし朴院内代表は「国際海洋法の専門家は(提訴などについて)前向きに検討する考えを示している」と主張し「共に民主党が支援したい」とも述べた。

 朴院内代表は「共に民主党と与党・国民の力が共同で国際原子力機関(IAEA)と環境、健康、生態関連の国際機関によるガバナンス構築を推進したい」とも主張している。国連の機関であるIAEAの仕組みを見直すことに各党が一致して対応したいというのだ。

 さらに共に民主党院内副代表の洪貞敏(ホン・ジョンミン)議員は同じ会議で「尹大統領は最も重要な貿易相手国の中国に対して積極的なセールス外交を行わず、米国以上に強硬な姿勢で自ら葛藤を引き起こしている」と批判した。

 洪議員は米国のブリンケン国務長官とイエレン財務長官が先日相次いで中国を訪問したことに言及し「米中対話が活発に再開しており、外信各社も両国の対立はこれ以上拡大せず、適正なレベルで妥協すると予想している」とした上で「このように国家間の関係においては経済的な実益が外交における最も重要な基準になる。尹錫悦政権の外交方針を見ると、具体的な国益よりも過去の冷戦時代における親疎関係をより優先するとの懸念を拭うことができない」と指摘した。

 洪議員は「最も大きな取引相手(中国)から顔を背けることなどあってはならない」「政府も無理な脱中国ではなく、より体系的な脱リスクと多角化戦略を樹立すべきだ」と求めた。さらに「中国とは積極的なセールス外交を行うべきで、(これに対して)日本とは福島汚染水放出に対応しなければならない」と主張した。

キム・ギョンピル記者

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  • ▲韓国国会で開催された共に民主党院内対策会議で発言する同党の朴光温(パク・クァンオン)院内代表。11日午前撮影。/NEWSIS

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