北が初めて使った「大韓民国」の呼称、うかつにやり過ごしてはならない【7月12日付社説】

北が初めて使った「大韓民国」の呼称、うかつにやり過ごしてはならない【7月12日付社説】

 北朝鮮労働党中央委員会の金与正(キム・ヨジョン)副部長は10-11日に発表した韓国を非難する談話で、2日連続で「南朝鮮」ではなく「大韓民国」という言葉を使った。金与正氏は「米空軍による北朝鮮に対する偵察活動は朝米間の問題」とした上で「大韓民国軍部は介入するな」とくぎを刺した。金与正氏は「大韓民国の合同参謀本部」「大韓民国のやから」などの言葉も使った。

【図】北の「人工衛星」は望遠鏡並み…実用性は皆無だった

 北朝鮮はこれまで韓国に対し「南朝鮮」「南朝鮮かいらい」などの言葉を使ってきたが、韓国を非難するメッセージで「大韓民国」を使うのは今回が初めてだ。「大韓民国」に《 》の表示を使い、この言葉を自分たちが意図して使っていることを強調した。北朝鮮最高レベルの談話で「大韓民国」を使うことは、これまで「同じ民族」という特殊な関係だった南北関係を通常の敵対国関係と見なすことを意味するのかもしれない。北朝鮮は今月1日、鄭夢憲(チョン・モンホン)元現代グループ会長の死去から20年の追悼行事を金剛山で開催することを拒否したが、その際にも対南機関の祖国平和統一委員会ではなく北朝鮮外務省が対応に当たった。これも同じ流れと考えられる。

 南北は1991年に採択した基本合意書で南北関係を「国と国との関係」ではなく、「統一を目指す過程において暫定的に形成される特殊な関係」と見なしてきた。北朝鮮がこの特殊な関係を否定し始めたとすれば、これは今の分断状態を永続化し、統一に向けたいかなる交渉も拒否する考えであることを意味する。同時に金氏王朝永続化の意図もあるだろう。

 北朝鮮は2019年にベトナムで行われた米朝首脳会談が決裂した直後から南北対話を拒否し、韓国に対する攻勢を強めてきた。北朝鮮は文在寅(ムン・ジェイン)政権当時の2020年6月、「南側とはこれ以上向かい合って座ることも、話し合う問題もないという結論に至った」とし、その後も開城工業団地内の南北共同連絡事務所を爆破することで、「民族」を基盤とする対南路線の見直しを公式に表明した。2021年の第8次党大会後は対南担当秘書の職責もなくなった。北朝鮮は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領就任後の昨年8月「絶対に相手にしない」「互いに意識せずやっていくことが懇切な願いだ」などのコメントも出した。

 北朝鮮が「大韓民国」という表現を使ったことは、「同じ民族」として最低限の配慮も今後はしないことを意味する。「まさか同じ民族に核兵器を使うわけない」と考えるなということだ。今後は核問題・ミサイル問題における南北次元での交渉は全て拒否し、新たな挑発を敢行する可能性も考えられる。哨戒艦「天安」爆沈のように証拠の確保が難しい挑発、あるいは新たな核実験などもあるかもしれない。いずれにしても北朝鮮の意図を引き続き詳細に分析し、これに対応していかねばならない。

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