食の安全に最も厳格なEUが福島県産水産物の輸入を再開した意味は【7月15日付社説】

 欧州連合(EU)は日本における福島汚染処理水放流計画にかかわりなく、福島県産農水産物の輸入規制撤廃を正式に決めた。2011年の福島原発事故直後から続いてきた農水産物輸入規制を12年ぶりに完全撤廃するのだ。これに伴い日本は福島県など10県の農水産物をEUに輸出する際、放射性物質の検査証明書を提出する必要がなくなった。

【写真】李舜臣の銅像に上って「福島汚染水海洋放出反対」を叫ぶ民主労総メンバーら

 EUによる今回の決定はEU域内27カ国に住む4億5000万人の食生活に影響する。そのため今回の決定も全ての加盟国との合意形成が行われたという。食の安全に関するEUの基準は世界で最も厳しいと言っても過言ではない。EUの執行機関・欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は「EUは科学的な証拠とIAEA(国際原子力機関)の評価に基づいて今回の決定を下した」と説明した。

 IAEAの報告書に対するEUの対応はどうしても韓国野党・共に民主党のそれと比較せざるを得ない。共に民主党はIAEA報告書が公表されると同時に現職議員はもちろん、元執行部の議員たちまで会見し「検証報告書ではなく日本政府と東京電力の下請け発注報告書とほぼ同じレベル」「中立性と客観性が失われた日本寄りの偏向した検証」などと批判した。「中身のない報告書」とまで言ってのけた。共に民主党報道官はIAEAのグロッシ事務局長を「核排水放流広報大使」と非難した。この問題に科学的な知識が欠如している共に民主党のこのような態度は、政治目的を持つまさに「何でもあり」と言えるものだった。

 韓国の海は陸地を挟んで福島県の海と事実上遠く離れている。ところが日本が放流を実行する前から韓国国内では天日塩の買い占めが発生し、水産市場では客足が途絶えた。KBSやMBSなどのテレビ番組や共に民主党が広めたデマが原因だ。このような韓国社会から見ると、福島の海で水揚げされた魚介類を輸入して口にする欧州の人たちは完全に愚か者に見えるだろう。しかし果たして本当に彼らは愚か者だろうか。

 共に民主党を説得するためIAEAのグロッシ事務局長が韓国を訪問したが、入国する前から空港でデモ隊の妨害に遭った。グロッシ事務局長は「大衆の懸念は理解する」「善意の懸念、正当な懸念を持つ人たちなら、こちらの説明に心を開いてくれるだろう」と期待を示した。ところが共に民主党執行部からは侮辱に近い言葉を直接聞かされた。すると潘基文(パン・ギムン)元国連事務総長は「IAEAが日本から資金を受け取って報告書を作成したなどの話は、本当に無責任で国の格を貶めるものだ」と述べ、共に民主党を暗に批判した。しかし韓国のテレビ番組や共に民主党がこの言葉に耳を傾けることはないだろう。

 国民の不安が解消されるまで韓国は福島県産農水産物の輸入を認めるべきではない。しかし韓国以上に食の安全を徹底して守る欧州諸国が福島県産農水産物の輸入を決めた。彼らの合理的かつ理性的な態度、そして科学に対する信頼はしっかりと参考にすべきだ。

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