福島汚染水放出問題、日本は狂ったばかなのか【コラム】

 「デマは国境を越えない」という事実を確認させられたのは、2008年の「狂牛病(牛海綿状脳症・BSE)問題」のときだった。当時、恐怖を扇動していた勢力には論理のあらが山ほどあったが、その中でも致命的な自己矛盾があった。米国産牛肉が危険だというのに、当の米国人は微動だにしていない、という点だった。「脳にぷすぷす穴が開く」ことになりかねないのに、米国人はなぜ立ち上がらないのだろうか。米国人は自国産の肉だからそうなんだとしても、数百万人の在米韓国人や韓国人留学生、駐在員らはなぜ黙っているのか。米国へ出かける大勢の旅行客は、ハンバーガーやステーキで食事をするために命でも懸けていたというのか。

【写真】日本の汚染水海洋放出を阻止するために日本に向かう韓国野党議員ら

 当時、民主党議員らが国政監査でワシントンの韓国大使館に行き、カルビとユッケジャンの夕食を取ったという事実が判明した。もちろん米国産牛肉だったが、一行が食事を拒否したという話はなかった。「いっそ青酸カリを飲む」と言っていた女優は、ロサンゼルスでの撮影中にハンバーガーを楽しむ写真が公開された。同じ牛肉が、米国では平気で、韓国に来ると危険になるのか。この基礎的な質問に、デマ勢力は沈黙するか、あるいは別のうその論理で話をそらした。国内政治目的で創造されたデマだから、国境を越えた瞬間、通用しなくなるのは当然だった。

 あのときと全く同じ政党、全く同じ団体が、全く同じ手法で福島の問題にたかってきた。「核廃水」「毒劇物」「放射能テロ」と恐怖心をあおっているが、15年前と同じく、彼らが答えられないジレンマがある。当の日本は静かだという点だ。

 福島の問題の核心は、汚染水がほかならぬ日本の領海に放流されるということだ。正確には、福島沖1キロの地点だ。あまりにも当然の話だが、汚染水が危険であれば、最も直接的に被害に遭うのは日本だ。この水が韓半島の海域に到着するには海流に乗り、太平洋を半周して4-5年かかる。逆に日本周辺の海にはすぐ混じる。首都東京は放流地点からわずか200キロしか離れていない。北海道をはじめ、太平洋側の沿岸は全てその影響圏に入っていると見ていい。

 ところが現在、日本で汚染水放流はイシュー(問題点、関心事)にすらなっていない。メディアはほとんど報じておらず、社会的論争が起きてもいない。日本のポータルで「汚染水」を検索すると、韓国発のニュースを翻訳・引用した内容がほとんどだ。衆議院に1議席しか持たない社民党を除くと、放流を止めるという政党はない。水産物への打撃を懸念する漁民団体が「放流反対」の立場を表明しているが、彼らもまた行動に出てはいない。まれに行われる反対デモは、参加者が100人ほどに過ぎない。韓国では「毒劇物」がまかれると騒いでいるが、当事者である日本は動揺もしていない。

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