福島汚染水放出問題、日本は狂ったばかなのか【コラム】

 日本国民は安全問題に神経を使わない「ばか」なのだろうか。官の方針にきちんと従う大勢順応的な国民性のせいでもあるだろう。しかし、いくら順応的であっても、自分の命まで犠牲にする国民はこの世にいない。子孫まで代々の命と健康が脅かされると思ったら、日本人も当然反発し、抵抗する。彼らが汚染水の放流を受け入れているのは、「ばか」だからではないのだ。科学的に問題ないという公的な説明を信じているからだ。政府を信頼し、科学を信奉しているということだ。

 日本政府は、自国の領海に「毒劇物」をまき散らす狂った集団なのだろうか。日本の支配層が判断の錯誤を犯した“黒歴史”はしばしばあるが、彼らが故意に国を亡ぼす考えを持つはずはない。韓国のデマ勢力の陰謀論のように、たかだか数千億ウォン(1000億ウォン=現在のレートで約109億円)を惜しんで危険な海洋放流を決定したというのか。周辺の国を苦しめるために自国の海から放射能で汚染する自害テロをやるという話なのか。日本の科学者らは皆そろって臆病者なのだろうか。世界の5大ノーベル賞受賞国である日本の科学界が一斉に良心を捨てて真実を隠蔽(いんぺい)しているのか。

 汚染水放流を喜ぶ人間はいない。何か気にかかるからだ。しかし、取り得る処理方法の中で海上放流が最も安定しているというのが、科学界の共通した結論だ。民主党が主張する「コンクリート個体化」方式は、技術的に不安定な上、大気中への放射能放出を防ぐことができず、海洋放流よりも危険だという。デマ陣営は日本を、はした金を惜しんで自国民の生命を犠牲にする未開の国と考えているようだ。日本を劣った後進国扱いして陰謀の翼を広げる無謀さは驚くばかりだ。

 彼らの論理によると、米国もまた異常な国だ。福島の放流水は海流に乗って北東方向へ移動し、まず米国西海岸に到達することになる。2011年の大地震のときも、福島から流れていったブイや漁船、冷蔵庫などの残骸がカリフォルニアやオレゴン、アラスカの海辺で発見された。それでも米国は、汚染水の放流に賛成するという。米国も後進国なのか。この質問に、民主党やデマ陣営は答えない。どうせ政治攻勢が目的なのだから、他の国がどうあろうと関心もないのだろう。

 デマは決して国境を越えられない。虚構とうそが乱れ飛ぶ場から目を外へと向けてみれば、何が真実で何が真実でないか、明らかになることを意味している。

朴正薫(パク・チョンフン)論説室長

【写真】日本の汚染水海洋放出を阻止するために日本に向かう韓国野党議員ら

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