「今からノートPCとスマホを閉じて」…スパイ映画のようだった尹大統領のウクライナ訪問

　尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領は15日（現地時間）、ウクライナの首都キーウでゼレンスキー大統領と首脳会談を行ったが、一連のスケジュールは厳しいセキュリティの中で進められた。

　「記者の方々、ノートパソコンを閉じてください。そしてここに大韓民国の記者ではない方がいれば外に出てください」

【写真】ロシアのミサイル攻撃を受けたキーウ郊外を視察する尹錫悦大統領と金建希夫人

　韓国大統領室は14日、ポーランドの首都ワルシャワ市内のあるホテルに準備されたプレスセンターでこのように要請し「今からノートパソコンの使用とスマートフォンでのカカオトークなどメッセンジャーを使った連絡も自制してください」と求めた。ブリーフィングの内容について連絡を受けていなかった記者団はざわついた。

　直後に韓国大統領室のある幹部が「（歴訪）最終日ではなく、訪問の日程がもう一つできたことを伝える」と口火を切った。尹大統領がウクライナを訪問するのだ。この幹部は「まだ2泊残っている。大韓民国の国益のため非常に特別に今からエンバーゴ（報道自制）を解除するまで徹底して守ってほしい」「連絡は最低限必要なものだけ。国際電話や有線電話はもちろんメールも危険だ」「間接的な言葉で通信してほしい」と求めた。

　メディアは通常、得た情報を社内で共有した上でどれを記事にするか選択するが、韓国大統領室は「社内でも絶対にセキュリティが守られるよう特別に協力を求める」としてセキュリティを徹底するよう要請した。

　韓国大統領室は具体的なスケジュールは公表せず「歴訪期間が2日延びた」とのみ伝えるよう求めた。尹大統領がウクライナの安全な地域を通過するまで情報流出やハッキングなどの事態を事前に防止するためだ。同行した記者の家族にも伝えないよう念を押された。

　韓国大統領室はこれまで尹大統領のウクライナ訪問可能性について「計画はない」と否定してきた。大統領室周辺のわずかなスタッフだけがこの計画を極秘に進めていたという。尹大統領は5月にゼレンスキー大統領の妻のオレナ・ゼレンスキー氏が来韓した際、ゼレンスキー大統領からの親書を通じてウクライナ公式訪問の要請を受けた。尹大統領は深く検討した末に訪問を決めたという。