【7月17日付社説】今度は地下車道で犠牲者、豪雨のたびに半地下や地下で悲劇が起きる韓国

 韓国では今回の集中豪雨で16日までに50人近い人命被害が発生するなど被害が拡大している。特に清州市五松邑の宮坪第2地下車道には美湖江の堤防決壊による川水が流れ込み、10人以上の死者・行方不明者が発生した。突然の集中豪雨でもなく、大雨が予想されていたにもかかわらず、数十人の尊い命を失わなければならなかったことは残念だ。

 事故が起きた宮坪第2地下車道は美湖江と数百メートルしか離れておらず、近隣の農地よりも低くなっているため、浸水事故が予想されていた。美湖江には15日午前4時10分、洪水警報が出された。当時、錦江洪水統制所は管内の区庁などに交通規制が必要だと通告したが、規制は行われなかった。交通規制さえ行われていれば防ぐことができる事故だった。結局午前8時40分、美湖川橋付近の堤防が決壊し、瞬時に川の水が地下車道に流れ込み、惨事が発生したのだ。事前の堤防管理もずさんだったという住民の指摘が相次いでいる。慶尚北道醴泉郡では土砂崩れなどで10人余りの死者・行方不明者が出た。積極的に住民の避難誘導を行っていたならば、状況は変わっていただろう。

 昨年も首都圏を襲った集中豪雨と慶尚道を襲った台風11号(アジア名・ヒンナムノー)などで、ソウルの半地下住宅に住んでいた一家3人、浦項のアパート地下駐車場に閉じ込められた7人を含め数十人が死亡または行方不明となった。事故後、政府は積極的な備えと再発防止を約束したが、残念ながら地下車道と土砂崩れで昨年の悲劇がまたもや繰り返された。

 

 気候変動で自然災害がますます極端な形で現れ、人手による事前の対策にも限界があるのは事実だ。だが、今回の地下車道での悲劇で分かるように「人災論争」が伴うのは、もう少し行政が積極的に動けば、もう少し備えがあったならばと悔やまれるからだ。不可抗力の面があるとはいえ、行政の基本を守っていたならば、被害を大幅に減らすことができたはずだ。特に今年は数日にわたって豪雨が降るなど災害が予想されていたにもかかわらず、まともに対処できなかったことになり、これ以上自然災害のせいにすることは難しい。行政安全部と自治体にはいつものことだと備えが安易ではなかったか、災害管理マニュアルに弱点がなかったか、もう一度チェックすべきだ。気候変動でこれまで数十年に一度だった「極限豪雨」が毎年繰り返されているという点を肝に銘じなければならない。

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  • ▲16日、美湖江の堤防決壊で浸水した忠清北道清州市五松邑の宮坪第2地下車道で救助隊員が行方不明者を捜索している /聯合ニュース

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