尹大統領のキーウ訪問を「戦争の火種がやって来る」と批判、世界に例を見ない野党・共に民主【7月18日付社説】

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が極秘にロシアと戦争中のウクライナを訪問し、ウクライナとの連携を表明したが、これに対して韓国野党・共に民主党は一斉に「韓国が安全保障上のリスクに直面した」と主張し始めた。共に民主党の最高委員は「韓半島を新冷戦の中心地にしてしまった」と非難した。文在寅(ムン・ジェイン)前政権で秘書室長を務めた586(1960年代に生まれて80年代に大学へ通った50ー60代)のある人物は「イデオロギー外交で国益に反した」と発言し、元四つ星将校の議員は「韓国の安全保障を危険に陥れかねない」と主張した。中でも共に民主党の元院内代表は「戦争の火種を韓半島に持ち込んだ」と述べた。

【写真】ロシアのミサイル攻撃を受けたキーウ郊外を視察する尹錫悦大統領と金建希夫人

 共に民主党によるこれらの主張が正しければ、世界で尹大統領だけがキーウを訪問し、ロシアはその報復として韓国に対して今すぐにでも宣戦布告するだろう。しかし実際は昨年2月のロシアによる軍事侵攻後、米国のバイデン大統領、フランスのマクロン大統領、英国のスナク首相らG7(先進7カ国)をはじめとする自由民主主義陣営の首脳は全員がキーウを訪れ、ウクライナ国民を応援した。欧州以外では日本の岸田文雄首相も今年3月に訪問しており、カナダのトルドー首相は2回もキーウに向かう列車に乗った。これらの国の野党が「自分たちの国の首脳が戦争の火種を自国に持ち込み、自国が安全保障上の危険にさらされた」と主張したケースは見いだしがたい。ドイツでは緑の党所属の副首相が今年4月にキーウを訪問し「ドイツ政府による武器支援に時間がかかり、また非常に遅くなって恥ずかしい」としてシュルツ首相を批判したが、目につくとすればこの程度だ。韓国の大統領によるウクライナ訪問を理由に、ロシアが韓半島で報復戦争を起こすという共に民主党の主張は、映画にもできないほどあり得ない話だろう。

 最近韓国はG7首脳会議や北大西洋条約機構(NATO)会議が開催されるたびにたびたび招待され、懸案について意見を分かち合う事実上の準加盟国と同じような立場にある。世界の自由民主主義陣営は全ての国がロシアの侵略を非難し、ウクライナ国民を支援しているが、世界の主要国となった韓国だけが顔を背けるべきという主張はおかしい。韓国が6・25で南浸された時に、韓国と共に戦った参戦16カ国の野党が共に民主党と同じ主張をしていれば、大韓民国は今存在していなかったはずだ。

 ウクライナ戦争もいつか終わるだろうし、ロシアとの関係も続けるしかない。そのためロシアを過度に刺激する必要はない。ただしロシアが他国の領土を奪うために侵略し、民間人の殺害もためらわない戦争犯罪を続けているのは明確な事実だ。これを非難しない国はまともな国ではない。今ロシアを非難しない国は北朝鮮や中国のような国だ。共に民主党は韓国をこれらの国と同じにしたいのか。

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  • ▲尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は15日(現地時間)にウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談した。写真はウクライナのマリンスキー宮殿(大統領府)で会見後に握手する尹大統領とゼレンスキー大統領。/韓国大統領室

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