文在寅政権の4大河川堰解体決定で行われた驚きの歪曲・でっち上げ【7月21日付社説】

 韓国監査院による錦江・栄山江の堰解体決定に関する監査結果を見ると、文在寅(ムン・ジェイン)政権が本当にここまで強引かつ巧妙な方法で堰の解体を決めたのかと驚かされる。まず、環境部は2018年11月、堰解体の可否を決める4大河川調査評価委員会を設置する前段階で関連機関・団体から推薦された専門家169人のリストを複数の環境団体で構成する4大河川再自然化市民委員会という組織に送った。再自然化委は4大河川事業に賛成したか支援したと判断される41人に「ノー」という意味の「N」という印を付けて差し戻した。事実上のブラックリストだった。このため、当初環境部が作成した最終候補に含まれていた3人は、環境団体による拒否権発動で外された。環境部が事実上、環境団体の指示を受け、4大河川事業に反対する専門家だけで調査評価委員43人の顔ぶれを決めたのだ。どんな結論が出るのかは最初から明らかだった。

【写真】「堰開放のおかげで絶滅危惧種が戻ってきた」→うそ投稿でした

 さらに荒唐無稽なのは調査評価委が3カ月にわたって活動した際、世宗堰・竹山堰の解体、公州堰の部分解体、百済堰・昇村堰の常時開放を最終決定する根拠とした経済性評価がとんでもない方法で歪曲(わいきょく)されたことだ。経済性評価でコスト面は堰の撤去費と取水場補強費を加えた金額で客観性に大きな問題はなかった。一方、堰解体のメリットについては、堰を解体すれば水質が改善されるという仮定が前提となっているが、水質が果たして改善されるかどうかは事前に分からなかった。このため、文政権は発足直後から堰の水門を開き、水質をモニタリングしてきたのだ。水門を開いて水質が改善されれば、堰を解体しても水質が良くなるという期待があったからだ。 ところが、期待とは逆に水質がかえって悪化するケースが出た。特に栄山江最下流の竹山堰の水質は明らかに悪化した。したがって、堰を解体すれば水質が悪化すると考えるのが当然だった。

 すると委員会は「水門開放中の水質実測値」ではなく「堰建設前の水質」を持ち出し、「堰を解体した場合の水質」と見なすことを決めた。4大河川事業で川底を大規模に浚渫(しゅんせつ)し、川の形状自体が完全に変わった状態なのに、「堰建設前の水質」を「堰解体後の水質」と見なすのはとんでもない話だった。委員会でも「対極にいる専門家が『なんと非常識な話をしている』と考える」との懸念があった。それでも調査評価委は堰建設前の水質を堰解体後の水質と見なすことを決めた。ある委員は「何も考えていない国民が聞けば、『それが理にかなう』と思うだろう」とし「(堰を解体すべきという)メッセージを伝えるにはそれで構わない」と発言した。科学ではなく政治を行ったのだ。

 こうして調査評価委が世宗堰と竹山堰の解体を決め、2021年には水管理委員会も同様の最終結論を下した。環境部と大学教授が中心となった専門家委員会がこんなとんでもない経済性評価の歪曲、改ざんを行ったのだ。

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  • 【写真】2018年に4大河川調査評価委員会が経済性評価で不適切な議論を行い、解体を決めた全羅南道羅州市の竹山堰/ニュース1

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