文在寅政権の「3不1限」は全て事実、国の主権を中国に明け渡した売国行為ではないか【7月22日付社説】

 文在寅(ムン・ジェイン)前政権が中国に配慮するため、在韓米軍のTHAAD(高高度防衛ミサイル)配備を意図的に遅らせていた疑惑が事実だったことが今回確認された。THAADは北朝鮮の核ミサイルを迎撃するシステムだ。ところが文在寅政権は任期5年間、このTHAADを「臨時」という形の配備にとどめた。文在寅政権は6カ月もあれば終わる環境影響評価ではなく、1年以上の期間を要する「一般環境影響評価」を行う方針を定め、その最初の段階となる評価協議会の発足も最後まで先送りした。表向きは住民の反対が理由だったが、実際は中国に配慮するためだったのだ。今回公表された韓国国防部(省に相当、以下同じ)の文書にこれらが記載されていた。

【表】THAADを巡るデマの数々

 この文書によると、国防部、外交部、環境部の担当者は2019年12月3日に行われた青瓦台(韓国大統領府)国家安保室の会議で「中国は環境影響評価の手続きに入ることをTHAADの正式配備と見なし、強く反発するだろう」「12月に計画されている政府高官による交流(大統領の訪中)に影響するのは避けられない」「年内の評価委員会発足は難しい」などと結論づけていた。この会議は文前大統領が訪中する3週間前に行われた。訪中に悪影響を及ぼしかねないため、THAADの正式配備に必要な手続きが先送りされたのだ。最終的に文在寅政権の5年間に環境影響評価を行う評価協議会は最後まで発足しなかった。

 中でも注目すべきは国防部がこの文書で「THAAD・3不」について「韓中間の従来の約束」と明記したことだ。3不は「THAAD追加配備不可」「米国のミサイル防衛(MD)システム参加不可」「韓米日軍事同盟不可」を意味するものだ。3不について文在寅政権は「韓国政府の立場表明に過ぎず、国家間の合意や約束ではない」と説明してきたが、実際は違ったのだ。2020年7月31日に国防部長官に報告された文書には「中国は両国が合意した3不1限を維持すべきとの立場」という文言も出てくる。1限とはTHAADの運用に制限を加えることを意味する。文在寅政権は1限について「明らかに事実とは異なる」と主張してきたが、これもやはりうそだったのだ。

 THAAD追加配備や米国MDへの参加は大韓民国の軍事主権に属するもので、他国の介入など許されない。ところが文在寅政権は中国を訪問するためこの軍事主権を中国に差し出した。「1限」はすでに配備されたTHAADの運用を中国の意向に沿って制限するという意味だ。自国の軍事力運用に他国の干渉を認める国がどこにあるのか。「国を売り渡した」と言われても何も反論できないだろう。しかもこの売国行為に国の主権を守るはずの軍人や外交官まで加担していた。まさに惨憺(さんたん)たる思いだ。

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  • ▲慶尚北道星州郡の在韓米軍高高度防衛ミサイル(THAAD)基地/NEWSIS

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