「『汚染水の恐怖を増長』と金建希夫人が放映阻止」と韓国でデマ流れた日本のドラマ、実際の内容は違っていた

 外圧説そのものもフェイクニュースだったが、公開されたドラマの内容を見ても、共に民主党が主張する理由で韓国政府がこのドラマに圧力を加える理由はなさそうだ。ドラマを見た一部の人々が「美化」と感じるほど、当時現場で命がけで事態の収拾に当たった東電職員や自衛隊員たちの話がストーリーの中心だからだ。

 ドラマは2011年3月11日、最大震度7の地震が発生した直後、高さ最大15メートルの津波が福島原子力発電所を一瞬にしてのみ込んだその瞬間から始まる。『白い巨塔』『はだしのゲン』など重厚な社会的メッセージが込められたドラマを手がけてきた増本淳らが制作に参加し、今年のカンヌ国際映画祭で男優賞を受賞した日本の国民的俳優・役所広司が主演を務めた。制作陣は「当時の吉田昌郎・福島第一原発所長の証言記録『吉田調書』や、東京電力がまとめた『福島原子力事故調査報告書』、ジャーナリストの門田隆将が書いた『死の淵を見た男 -吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日-』を基に作った」と明らかにしている。

 ドラマは、原発が爆発する可能性のある最悪の状況で、事態拡大を防ぐため、まさに死闘を繰り広げた福島第一原子力発電所職員たちを淡々としながらもリアルに描いている。当時、停電や余震、津波の恐怖があった中、東京電力と協力企業の職員800人余りは「メルトダウン」を防ぐために原発内部のバルブを手動で開くなど、全力を尽くして事態を収拾した。そうした職員のほとんどが撤収した後も、「50人の決死隊(フクシマ50)」と呼ばれ、最後まで発電所内にいた作業員らは命がけで、さらに大きな爆発を防ぐために原発に残る。「うちの家族も福島に住んでいるから」と、退職を控えている原発技術者が再び現場に志願するなど、大筋は実際の事故時に米紙ニューヨーク・タイムズが「日本を大惨事から守っている英雄」と紹介した通りだ。

 だからといって、原発事故を全面的にかばっているわけではない。事実、事故初期に原発関連機関のトップに対して菅直人首相=当時=が「あなたは原子力の専門家なのか」と叫ぶと、そのトップが「いえ、私は東大の経済学部を出た」と答える場面や、民間企業である東京電力だけに事故原因の把握と収拾を任せたこと、五日たってやっと統合対策本部を発足させたこと、爆発映像がテレビで流れているのにもかかわらず「原子力は問題ない」と言った東京電力の「まずは隠ぺい」という姿勢や報告の遅さなど、原発事故の事態収拾における総体的な問題として提起された部分はありのままに描かれている。

ナム・ジョンミ記者

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  • ▲今月20日に韓国で公開された動画配信サービス「NETFLIX(ネットフリックス)」オリジナルシリーズ『THE DAYS(ザ・デイズ)』。原子力発電所の所長・吉田=役所広司、写真中央=を中心に、福島原発事故時、現場の職員らが事態の拡大を防ぐために繰り広げた死闘を描いている。写真=ネットフリックスより

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