「堤防が崩れそう」 地下道水没の前日に通報あったのに…忠清北道消防本部は何の措置も取っていなかった

 忠清北道清州市興徳区五松邑の宮坪第2地下道が水没し、死亡者が出た事故の前日、「堤防が崩れそうだ」という119番通報があったことが分かった。しかし、当時119消防本部状況室に勤務していた担当者は「地方自治体に連絡してください」と答えただけでほかの措置を取らず、こうした通報があったことも上司に報告していなかったという。

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 26日までの本紙取材を総合すると、韓国国務総理(首相に相当)室傘下の国務調整室は事故前日の14日午後5時21分、忠清北道消防本部状況室に、美湖川橋堤防に関する119番通報があったことを把握したとのことだ。「美湖川橋の工事中の所を通ったが、水を阻む施設がない。橋脚の下の盛り土をしてある所が崩れそうだ」という内容だった。

 この通報者が指摘した場所は、その約15時間後に崩れた臨時堤防だった。地下道から約600メートル離れた美湖川橋の拡張工事を進めていた施工会社は、地下道から約200メートル離れた美湖川堤防の一部を撤去した状態だった。施工会社は事故1週間前にこの地点に臨時堤防を築いたが、臨時堤防が部分的に崩れ、美湖川の水が堤防を越えてあふれ、地下道を襲った。この通報者は通報した時、「ここが崩れたら五松邑が浸水する」とまで警告していたとのことだ。

 ところが、当時119状況室に勤務していた担当者は「そこに行かせる人員がいない」と答えたという。そして、通報は「終結」処理され、上司にも報告されなかった。この通報内容は同時間帯の状況室勤務者の間だけで共有され、次の時間帯の勤務者たちにも伝えられていなかった。国務調整室では、忠清北道消防本部がこの時、現場を確認したり、関係機関に通報があったことを知らせたりしていれば、事故を防げた可能性があったとみている。

キム・ギョンピル記者

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  • ▲15日午前8時40分ごろ、忠清北道清州市興徳区五松邑の宮坪第2地下道を、美湖川からあふれた泥水が襲った。写真=監視カメラ映像より

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