1995年三豊デパート崩壊事故当時と同じ工法…手抜き工事の慣行もそのままだった

原価節約と工期短縮が口実
フラットスラブ構造のマンションでずさんな手抜き工事が相次ぐ
尹大統領「利権カルテルをつぶせ」

 韓国土地住宅公社(LH)が建設したマンションの「鉄筋欠落問題」を受け、韓国政府は同じ工法(フラットスラブ工法)で建設された全国の民間マンション300カ所以上の地下駐車場に対し全数調査を行う方針を示し波紋が広がっている。LHマンションはもちろん、民間マンションの住民からも駐車場の安全性に対する不安の声が相次いでいる。

【写真】「鉄筋が入ってない」マンションに設置されたジャッキサポート

 フラットスラブ構造は鉄筋コンクリートスラブ(床)が梁(はり)の仲介なく柱だけで直接天井を支える建築方式だ。しっかりと施工すれば工法自体に何の問題もなく、むしろ資材の使用を減らし工期も短縮できることから、専門家の間でも「効率性に優れている」というのが通常の見方だ。ただし「パリパリ(早く早く)」などと言われる工事の慣行や「無条件に安く」を強要する費用削減、外国人ばかりの建設作業員など韓国国内の建設現場の特性から、「フラットスラブ工法を完璧に行うのは難しい」との指摘も相次いでいる。

 フラットスラブ工法は1995年に不法な増築が原因で崩落した三豊デパートでも採用されていたが、この事実が知られるようになると、韓国国内ではごく少数の住商複合施設を除いてほぼ採用されなくなった。その後2010年代後半に建設原価の削減が重視され、地下駐車場を中心に再び採用が増え始めた。各階の騒音が伝わりにくいことから一部のマンションでも採用されている。

 フラットスラブ工法は柱だけで下層を支える特性から、設計や施工監理がいずれも連携して行われないと手抜き工事を防げない。ところが韓国の建設市場は発注者と施工者、監理を行う会社が利権でつながっているケースが多い。韓国国土交通部(省に相当)による最近の調査によると、鉄筋欠落で摘発されたLHマンション15カ所はいずれも監理機能が完全に欠如していた。とりわけ15団地のうち2-3カ所では監理業務が特定の企業に集中しており、これらの企業ではLHのOBが天下りしているケースも多かった。弘益大学建築都市大学院のユン・ジュソン招聘(しょうへい)教授は「設計、施工、監理が正常に行われていれば、フラットスラブ構造自体に何の問題もない」「建設現場を支配する利権カルテルとごり押し式の施工という慣行が事故を招いた」と指摘する。

 LHマンションにおける相次ぐ鉄筋欠落問題については尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領も1日の国務会議(閣議に相当)で「国民の安全を度外視した利権カルテルは必ずつぶさねばならない」と述べた。

チョン・スンウ記者

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  • ▲フラットスラブ構造が採用された京畿道烏山市青鶴洞の烏山細橋2 A6ブロックのマンション地下駐車場。崩落防止のためジャッキサポートが設置されている。/ニュース1

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