「春香が於于同に…」 新肖像画に国楽の演者ら反発 /全北・南原

「春香の新しい肖像画」巡る騒動

「春香が於于同に…」 新肖像画に国楽の演者ら反発 /全北・南原

 全羅北道南原市が予算1億7000万ウォン(約1900万円)かけて新しく制作した春香の肖像画を巡り騒動が続いている。春香は韓国に古くから伝わる、身分の違いを越えて結ばれた愛の物語「春香伝」のヒロインだ。「お下げ髪にデンギ(リボン)を付けた16歳の春香が、髪を束ねてアップにした40-50代の女性に変わり、衣服は於于同(オウドン=貴族の妻でありながら複数の男性と関係したとされる女性)を連想させる」と指摘されたものだ。

【写真】春香の肖像画、新旧比較

 春香精神文化保存会のソン・ファジャ代表ら国楽(韓国の伝統音楽)関係者らは1日、南原市議会で記者会見を行い「春香の新しい肖像画は、韓国を代表する女性像であり全国民に愛される春香像ではない」と主張した。

 関係者らは「お下げ髪にデンギを付けた、花のような16歳の春香がブランコに乗る姿を見て、広寒楼で官僚の息子・李夢竜(イ・モンニョン)が恋に落ちた」「(新しい肖像画の春香は)年齢が40-50代(に見え)、お下げ髪はまとめ髪に変わった」と指摘した。また、「顔は男装した女性、衣服は昔の若い女性が着る美しい装い『緑衣紅裳(緑のチョゴリに紅のチマ)』ではなく、於于同を連想させる」と主張した。

 その上で「このような春香の姿で無形文化財である春香歌を歌うことはできない」「パンソリ(韓国の伝統芸能)の中の高貴な春香として描き直して奉納せよ」と言った。声明書にはシン・ヨンヒ、キム・イルグといったパンソリの有名演者ら国楽関係者40人余りが名を連ねているという。

 「春香伝」ゆかりの地である南原市では、春香の肖像画を親日画家キム・ウンホ氏(1892-1979年)が描いたという理由で撤去し、新しい肖像画を制作した。新しい肖像画は画家キム・ヒョンチョル氏が描いたもので、縦173センチメートル×横94センチメートルという大きさだ。同市は予算1億7000万ウォンを投じた。新しい肖像画の春香は髪を丸くまとめ、貞節を象徴する竹の根をかたどったかんざしと、金鳳釵(きんほうさい、鳳凰〈ほうおう〉を刻んだ金のかんざし)を挿している。赤いチマ(スカート)と黄緑色のチョゴリ(上衣)は当時の若い女性が好んで着た服装だ。

 この肖像画は5月25日、南原市内の広寒楼苑にある春香祠堂(しどう)に奉納され、一般公開されたが、同地域の市民団体や観光客の間では「春香の姿として受け入れがたい」という声が相次いでいる。同地域の市民団体は「春香の新しい肖像画は春香の徳性や気品をきちんと表現できていない」「民主的な議論と手続きを経て描き直さなければならない」としている。だが、同市は「春香伝を基に服飾専門家らの考証を経て、当時の春香の姿を最大限反映させた」という見解を示している。

チェ・ヘスン記者

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