マンションの手抜き工事まで前・現政権が責任のなすり合い、全てを政争化する韓国社会の慢性病【8月3日付社説】

 韓国与野党は最近、民間建設会社と韓国土地住宅公社(LH)が施工したマンションで鉄筋が欠落したまま手抜き工事が行われたことについて、互いに前政権、現政権のせいだと攻撃を始めた。手抜き工事は民間の問題であり、政権のせいにすべきことではない。手抜き工事の根本原因と不正の構造を明らかにし、対策を立てるべき状況で与野党のおかしな政争が起きているのだ。

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 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は閣議で「(手抜き工事があった)マンションの無梁版工法による地下駐車場は全て現政権発足前に設計ミス、手抜き工事、ずさんな監理があった」と述べた。国民の力の尹在玉(ユン・ジェオク)院内代表は「文在寅(ムン・ジェイン)政権の国土交通部と大統領室の政策決定者に対しても調査が行われるべきだ」と発言した。金起ヒョン(キム・ギヒョン)代表は「文政権当時の金賢美(キム・ヒョンミ)、卞彰欽(ピョン・チャンフム)国土交通部長官はなぜこんなことが横行したのか国民の前で明らかにすべきだ」と述べた。

 これに対し、民主党は「手抜き工事があったLHのマンション15カ所のうち13カ所は尹錫悦政権発足後に工事が行われたか竣工したもので、文在寅政権下で竣工したのは2カ所だけだ」とし、尹錫悦政権と元喜竜(ウォン・ヒリョン)国土交通部長官が責任を負うべきだと主張した。さらに、「問題があるにもかかわらず竣工検査を承認した尹錫悦政権の責任の方が大きい」と指摘した。現政権下での監理業者選定の経緯も調査すべきとの立場だ。

 手抜き工事は施工業者、下請け業者、監理業者による癒着・不正構造、建設現場での長年の悪習、因習が重なった結果だろう。どの政権もそんな問題までは関与しない。ところが国民的関心が高まると、相手陣営を政治的に攻撃するための手段として利用する。政界が膝を突き合わせて対策を議論することは期待できないが、この問題まで政争化しているのを見ると舌打ちしたくなる。

 今韓国社会ではほとんど全ての社会・経済問題が政争化している。誰も予想できなかったハロウィン惨事(梨泰院雑踏事故)が起きても政権のせいであり、高速道路を1本建設するにも政権による不正攻防に発展する。大法院、憲法裁判所、監査院など最も独立的、中立的でなければならない憲法機関も任命権者が誰かによって、判決や監査結果が完全に変わる。国家人権委が脱北漁民強制送還事件の調査を却下した過程でも与野党の任命委員の意見は6対4で完全に割れた。全てを政争化するため、どんな問題もまともに解決することは難しい。深刻な慢性病だ。

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