「予算100億円」韓国開催の世界スカウトジャンボリー、キャンプ場造成より組織委運営に巨額資金投入…15年日本開催時は

 2017年に世界スカウトジャンボリーの招致が確定した当初、総事業費は491億ウォン(約53億円)だったが、2020年12月時点の事業費は846億ウォン(約92億円)と2倍近くに増えた。全羅北道は当時、ジャンボリー用地の上下水道施設や日陰になる場所といった基盤施設の拡充と、本イベントの予行演習となる「プレ・ジャンボリー」事業費の増額を理由に、予算がさらに必要だと主張した。

 しかし、予算増額理由だったプレ・ジャンボリー事業は2022年7月に中止された。新型コロナウイルス感染症の流行拡大を問題視したためだったが、実際には大雨によってジャンボリー用地が泥だらけになったことや、上下水道施設が整備されておらず、猛暑対策施設に不備がありキャンプが不可能だった点が同年の国政監査で指摘されていた。

 それから1年たった今年5月と7月にも、プレ・ジャンボリー中止の一因だった豪雨によるジャンボリー用地浸水が再度発生した。浸水問題などを解決するために予算を2倍近く増やしたが、同じ問題が2年連続で発生したのだ。それでも共同組織委員長である野党・共に民主党のキム・ユンドク議員は今年5月の国会本会議で、「浸水対策のために国費を投入しなければならない」と予算をさらに増やすべきだと主張した。

 主催者側が6年にわたり組織と予算の拡大ばかりを主張していた間、干拓地であるセマングムに設けられたキャンプ場の上下水道など基盤施設工事は後回しにされた。全羅北道は2021年にキャンプ場基盤施設工事業者を選定するとして緊急入札公告を出した。工事予想期間だけで2年なのに、ジャンボリー開催まであと1年9カ月という時点でも、基盤施設工事の70%を担当する業者が選定されていなかったのだ。

 女性家族部・全羅北道などの公務員たちがジャンボリー準備活動を理由に、まるで観光旅行のような出張をし、予算を無駄遣いしたとの批判もある。全羅北道庁関係者5人は2018年5月、「世界スカウトジャンボリー成功開催事例調査」を名目にスイスとイタリアに6泊8日間出張した。スイスのインターラーケンとルツェルン、イタリアのミラノとベネチアといった観光名所がコースに含まれていた。だが、スイスとイタリアは世界スカウトジャンボリーを開催した経験がない。同年12月には全羅北道の職員らが「オーストラリア・スカウト連盟を訪問する」と言ってオーストラリアに出張、2019年には女性家族部と全羅北道の職員らが「第24回世界スカウトジャンボリーを視察する」という名目で米国に行ってきた。

 それにもかかわらず、韓国国内の参加者数が予想より低調だったため、全羅北道議会は昨年道内の生徒や教職員に対し、1人当り参加費153万ウォン(約17万円)のうち103万ウォン(約11万円)を支援する条例を可決した。

 2015年に日本の山口県で開催された第23回世界スカウトジャンボリーの予算は380億ウォン(約41億円)という規模だった。韓国のように特別法制定や特別予算編成はなく、行事も中央政府ではなく山口県が実施した。成功のうちに終わったと評価されている1991年の第17回世界スカウトジャンボリー(韓国江原道高城郡)の予算も98億ウォン(約10億円)だった。

【表】1171億ウォンの予算は何に使われた? 世界スカウトジャンボリー総事業費の内訳

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  • ▲「第25回世界スカウトジャンボリー」のベルギー代表団が「インスタグラム」公式アカウントに投稿した写真。水たまりの上にプラスチック製パレットを敷いてテントを張っている。写真=ベルギー代表団のインスタグラムより
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