盧武鉉元大統領夫妻の名誉毀損で懲役刑、判事は「盧武鉉」を聖域化するのか【8月11日付社説】

 盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領夫妻の名誉を毀損したとして起訴された韓国与党・国民の力の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)国会議員が、一審で懲役6月の実刑を言い渡された。この事件は鄭議員が2017年、フェイスブックに「盧元大統領夫人の権良淑(クォン・ヤンスク)氏と息子が朴淵次(パク・ヨンチャ)氏から数百万ドルの金品、賄賂を受け取った疑いで検察の取り調べを受けた後、夫婦喧嘩の末に権氏が家出し、その夜一人残された盧大統領が自ら命を絶った」と書き、遺族に告訴されたものだ。昨年検察は鄭議員を罰金500万ウォン(約55万円)で略式起訴したが、判事が正式な裁判にかけ、懲役刑を言い渡した。名誉毀損事件は通常、有罪になっても罰金刑が一般的で、懲役刑は異例のことだ。

 裁判所は鄭議員が書いた文章のうち「盧元大統領夫妻が夫婦喧嘩をし、権氏が家出し、一人残された盧大統領が命を絶った」という部分を虚偽事実と判断したという。そして「乱暴で断定的な表現で盧元大統領夫妻の名誉を深く傷つけた」と指摘した。しかし、この文章は2017年に朴元淳(パク・ウォンスン)元ソウル市長が李明博政権による報復で盧元大統領が死んだという趣旨の主張をして、それは事実ではないという点を明らかにしようとしたものだ。さらに鄭議員は法廷で遺族に謝罪もした。それにもかかわらず、懲役刑を言い渡した。夫婦喧嘩をして家を出たという程度の言葉で刑務所に行かなければならないというのは民主社会だろうか。

 それに先立ち、柳時敏(ユ・シミン)元盧武鉉財団理事長は「韓東勲(ハン・ドンフン)法務部長官が過去に盧武鉉財団の口座を不法追跡した」という虚偽事実を主張して起訴されたが、一審判決は罰金500万ウォンだった。似た疑惑を主張した黄希錫(ファン・ヒソク)氏も一審で罰金500万ウォンを言い渡された。懲役6月と罰金500万ウォンは天地の差だ。鄭議員に言い渡した懲役刑が公平さを欠くほど行き過ぎだという指摘が出るのは当然だ。

 裁判所が「当時盧元大統領夫妻は公人とは見なせない」としたことも理解し難い。裁判所は通常、公人に対する疑惑提起を幅広く認める。ところが、今回のケースを私人に対する名誉毀損として、厳しく処罰した格好だ。盧元大統領夫妻が公人ではないという点に誰が納得するだろうか。裁判官が懲役刑を下すために無理をしたのではないだろうか。今回の事件の裁判官に「盧武鉉元大統領以外の問題だったとしても懲役刑を言い渡したのか」と問わざるを得ない。誰かを批判の聖域にするために判決を利用することがあってはならない。

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  • ▲故盧武鉉元大統領の名誉を毀損した罪で起訴された国民の力党の鄭鎮碩(チョン・ジンソク)議員が10日午後、ソウル市瑞草区のソウル中央地裁で開かれた一審の判決公判で懲役6月を言い渡され、立場を表明している/聯合ニュース

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