「経済報復を招く」と野党に批判された尹錫悦政権下の韓国に、中国の団体観光客が押し寄せる【8月14日付社説】

 中国政府が6年ぶりに韓国行き団体旅行を全面解禁したことを受け、中国のクルーズ船53隻が済州への寄港を予約したという。中国のクルーズ船は済州に立ち寄ってから日本などに向かうが、それでもこれらは数千人が乗る大型船のため、済州島の観光活性化にプラスになると期待されている。

【写真】目立ちすぎる漢字の誤表記…仁川空港に設置された中国人向け案内板

 今回中国クルーズ船の済州寄港が可能になった背景には、中国が2017年から続けてきたTHAAD(在韓米軍の高高度ミサイル防衛システム)を口実とする不当な報復の撤回がある。韓米両国は2016年、北朝鮮のミサイルから韓国を守るためTHAAD配備を決めたが、これに対して中国は翌2017年3月から旅行会社による韓国への団体旅行を全て不許可とした。当時の文在寅(ムン・ジェイン)政権は中国の機嫌を取るため「THAADを追加で配備しない」「米軍のミサイル防衛システム(MD)に参加しない」「韓米日軍事同盟に参加しない」とするいわゆる「三不」を中国側と約束するなど、まさに「屈辱外交」をもためらわなかったが、それでも中国は最後まで相応の措置を取らなかった。逆に文前大統領が訪中した際には中国政府要人から相手にされない「一人飯」や、同行した韓国人記者2人が暴行を受けるという事件も発生した。その中国が今月10日、世界78カ国への自国民の団体旅行を許可する際に韓国もその対象に含めたのだ。

 中国の外交政策トップで中国共産党中央政治局の王毅委員は先月行われた韓中日三国協力事務局(TCS)主催の会合に出席した。これは非常に異例と受け止められている。王毅委員はこの会合で「中日韓三カ国は地理的に分かれることはできない。今の困難な状況を克服するには交流増進が必要だ」と訴えた。「暴風が過ぎ去った後には太陽の光が照らし出すように、チャンスをつかみ手を取り合って進むことで3カ国とこの地域により多くの貢献をすべきだ」とも呼びかけた。

 韓国野党・共に民主党や韓国の左派勢力はこれまで「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は米国を重視し、中国を軽視しているため報復を受けるだろう」などと主張してきた。共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表も今年5月「(尹錫悦政権は)友人でなければ敵という二分法的な外交政策で一貫しており、韓半島を陣営対決の中心にしてしまった」「30年にわたり重要なパートナーだった中国やロシアとの関係は事実上、北方外交以前に戻りつつある」と批判した。

 中国の今後の動きは簡単には予測できないが、今の韓中関係の流れは野党勢力が主張してきた報復などの気配はみられない。中国はいかなる脅迫に対しても原則を曲げない国をぞんざいに扱うことはない。今こそこの専門家の言葉を思い起こすべきだ。

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  • ▲仁川港国際旅客船ターミナルから入国する中国人観光客。12日午前撮影。/聯合ニュース

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