セマングム世界スカウトジャンボリー大会のずさん運営は尹政権のせい…政争に加勢する文前大統領の発言、まさしく「恥ずかしめを受けるのは国民の役目」【8月15日付社説】

 文在寅(ムン・ジェイン)前大統領はセマングムジャンボリー大会のずさんな運営について「人間の準備が不十分だったので、天も後押ししなかった」「国格と矜持を失い、恥ずかしめ(を受けるの)は国民の役目になった」「どうか今回の失敗が苦い教訓となり、大韓民国が再び立ち上がることを願う」などとSNS(会員制交流サイト)に書き込んだ。「行事が失敗したのは現政権のせい」と決めつけ、国格が失墜したと非難したのだ。

【写真】台風6号で水浸しになったセマングム会場

 今回のジャンボリー大会序盤は酷暑や虫などに対する不十分な対策、さらに不潔なトイレやシャワー施設が大きな問題となった。この点は確かに今の政府と全羅北道の責任が大きい。しかし大会誘致が決まったのは文在寅前政権当時で、大会の準備も文在寅前政権の5年にわたり行われた。木が1本もない上に水はけが悪く、会場として不適切と判断された新しい埋め立て地が大会の会場として決まったのも文在寅前政権の時だ。大会関連予算はその多くが文在寅前政権で執行されたが、排水や電気系統の設備など、インフラ関連整備の進捗率はわずか37%だった。ところが文前大統領は「自分には一切責任がなく、全てが尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の準備不足が原因」と主張しているのだ。

 文前大統領はいびつな不動産政策で住宅価格を現実離れのレベルに暴騰させ、所得主導成長という実験で雇用をなくし、脱原発によりエネルギー政策の百年体系を崩壊させるなど、多くの政策で失敗を重ね国政に重い負担を残した張本人だが、その後これらの問題が表面化しても一度も謝罪したことはない。逆に「5年で成就した内容が崩壊してむなしい」「専門家に経済を任せるべきではない」などと開き直った態度で一貫している。監査を行おうとした監査院には「無礼だ」と叱りつけた。

 文前大統領は退任の際「忘れられた生活を送りたい」「政治から離れる」と言い残した。ところが実際は退任と同時にSNSに日常の様子を掲載し、野党の政治家と会っては政治関連のメッセージを発信してきた。自らのドキュメンタリーを制作し、書店の事業まで始めた。先日は湖南(全羅南北道)地域で開催された「水害克服生命慰霊祭」に出席し、「生命と安全が第一の世の中を作れるだろう」というメッセージを述べた。

 今月末にはかつて青瓦台(韓国大統領府)で共に働いた自らに近い議員らと会食し、首都圏の選挙対策について意見交換する予定だと明らかにした。政治を離れ退任した大統領がなぜ国会議員選挙に向けた対策について意見交換するのか。これは事実上の政治活動再開と受け取るしかない。これほど露骨で政治的な言動を何度も発信し、実際の政治に介入した大統領経験者はこれまでいなかった。より深刻な対立と混乱が起こる前に文前大統領は隠忍自重に徹するべきだ。

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  • ▲2017年10月26日に麗水世界博覧会場で開催された第5回大韓民国地方自治博覧会で全羅北道弘報館を訪れた文在寅(ムン・ジェイン)前大統領。文前大統領は全羅北道の宋河珍(ソン・ハジン)知事(当時)と共にスカウト用スカーフを首に巻いて記念撮影を行った。/全羅北道提供

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