「韓日は協力パートナー」…光復節に尹大統領が異例のメッセージ、日本は応えるべきだ【8月16日付社説】

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は8・15光復節演説で「独立運動は単に奪われた国権を取り戻すことではなかった」と述べ、共産主義勢力に対抗した自由民主主義の守護、産業化と民主化につながる大韓民国現代史がまさに独立運動の延長線上にあるとの認識を示した。尹大統領は「共産全体主義勢力に盲従し、捏造(ねつぞう)と扇動で世論をゆがめ、社会をかく乱する反国家勢力は今も横行している」「このような勢力に決してだまされたり、屈服してはならない」と訴えた。

【写真】第78回光復節慶祝式典であいさつする尹大統領

 尹大統領はさらに「韓日両国は安保と経済の協力パートナーだ」とも述べ、演説で日本との関係にも重点を置いた。尹大統領は北朝鮮が南侵した際、日本国内にある7カ所の国連軍司令部後方基地が「自動的に直ちに介入する」と言及し、日本について「北朝鮮の核とミサイルの脅威に対抗する安全保障上のパートナー」と説明した。反日・克日のメッセージを常に前面に出してきた歴代大統領の8・15演説とは異なり、日本を「普遍的価値を共有するパートナー」と位置づけ、韓日協力の重要性を強調したのだ。

 尹大統領は前政権で破綻直前となった日本との関係改善に向け外交面で努力を重ねてきた。韓国の大統領として12年ぶりに首脳会談目的で日本を訪問し、これが岸田文雄首相のソウル訪問へとつながった。最大の障害だった徴用賠償問題も「第三者弁済案」を提示し解決の糸口を示した。文在寅(ムン・ジェイン)前政権が破棄を宣言した韓日GSOMIA(軍事情報保護協定)を正常化し、首脳間のシャトル外交も再開させた。韓日関係がここまで回復したのは尹錫悦政権が先に手を差し伸べたためと言っても過言ではない。

 尹錫悦政権にとってこれらは国内の政治的な負担や反発を甘受する文字通りの「大胆な決断」だったが、日本側の対応はまだ不十分だ。日本政府は徴用賠償に日本企業が参加することを今も禁じている。福島汚染水放流については尹錫悦政権が求めた「韓国の専門家参加」などにも1カ月以上にわたり回答を示していない。さらに今週末に米国で開催される韓米日首脳会議では汚染水問題を議題とするよう無理な要求までしてきた。支持率を挽回したい岸田首相が「日本人拉致被害者の送還」に向け、韓国の頭越しで北朝鮮と極秘に接触したとの見方も浮上している。

 このような日本の態度には失望するしかないが、ある程度は予想されたことだ。しかし相手国を失望させることが繰り返されれば、困難な中で進められてきた関係改善のチャンスを失いかねない。破局に陥った両国関係を元に戻すには大胆な勇気と忍耐が求められる。韓国は焦ることなく、また日本は水を差すべきではない。

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  • ▲ソウル市西大門区の梨花女子大学大講堂で開催された第78回光復節で演説する尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領。15日撮影。/韓国大統領室

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