中国で服役中の脱北者2000人…「大韓民国は全員受け入れる」【8月18日付社説】

 コロナ渦の期間中に捕らえられ、今も中国で身柄を拘束されている脱北民の数が2000人に達し、また彼ら拘束中の脱北民は中朝国境が開放されたため北朝鮮に強制送還される可能性が高まっているという。エリザベス・サルモン国連北朝鮮人権状況特別報告官が明らかにした。中朝国境は3年にわたり封鎖されていたが、先日から新義州-丹東、茂山-南坪など一部で往来が再開し、また中国では一部地域の収容施設を増築するなど、脱北者の送還に向けた動きが進められているという。中国がこれらの国境地域を通じて脱北者を強制送還した場合、脱北者は政治犯収容所に送られ虐待や拷問など厳しい処罰を受ける可能性が高い。

 中国政府はこれまで脱北者を難民ではなく不法滞在者と見なし、厳しい取り締まりを続けてきた。しかし脱北者は北朝鮮による政治的・経済的圧力から逃れるため逃れてきた難民であることに間違いない。難民の地位を定めた国際条約は拷問や迫害を受ける恐れがある国や地域への強制送還を禁じている。また中国は難民地位協定や拷問等禁止条約に署名しているため、脱北民の強制送還はこれら国際人権協定などに反する行為となる。

 文在寅(ムン・ジェイン)前政権は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との首脳会談を実現させるため、北朝鮮住民や脱北民の人権問題から徹底して顔を背けた。国連の北朝鮮人権決議案には4年連続で参加せず、また北朝鮮人権財団も6年にわたり漂流させ、さらに北朝鮮にビラが飛ばされることは法律まで制定して禁止した。2019年には帰順(亡命)の意志を文書に残した脱北漁師2人を目隠しした状態で縄で縛り上げ、強制的に北朝鮮に送り返した。これは国際社会から人権に反する行為として激しい非難を浴び、またその影響で韓国にやって来る脱北者の数が20分の1にまで一気に減った。韓国に行ってもいつ送り返され死刑になるか分からないという恐怖心が脱北者の間で広がったためだ。

 先日就任した韓国統一部(省に相当)の金暎浩(キム・ヨンホ)長官は「韓国行きを希望する脱北民は全員受け入れる」との考えを示し、中国政府に協力を要請した。韓国政府は国連安保理の非常任理事国でもあることから、国連人権理事会の理事国である中国に対し、脱北民の人権じゅうりんにつながる強制送還をしないようより積極的に働きかけを続けねばならない。また国連機関や国際人権団体などとも協力し、さまざまな方面から粘り強く対応を取るべきだろう。9月に中国杭州で開催されるアジア大会までがそのゴールデンタイムだ。韓国政府はこの期間を絶対に逃してはならない。

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲ソウル市中区のソウル中央郵便局前で「脱北民強制北送反対」を訴え会見を行った全国脱北民強制北送反対国民連合。8月7日撮影。/NEWSIS

right

あわせて読みたい