■10年後には10万分の1レベルの影響
韓国は日本の西側にあるが、放出は日本の東側にある福島県で行われる。放出された汚染水は太平洋に広がり、大きく一周してから韓半島方面に到達する。太平洋の島国周辺を流れる北赤道海流や日本周辺の黒潮海流を通じて韓国の海域に流れてくるからだ。今年2月に韓国原子力研究院と海洋科学技術院がトリチウム拡散のシミュレーションを行ったところ、放出された汚染水は2年後に一部が韓国周辺の海域に到達するが、トリチウムは周辺海域で検出される量のわずか100万分の1レベルと予想されている。その後本格的に韓半島周辺海域に流入するのは4-5年後だが、それでもトリチウムの影響は非常にわずかだ。シミュレーションでは10年後には韓国周辺海域の平均トリチウム濃度の10万分の1ほどの影響が予想されているが、これは事実上検出自体が難しいレベルだ。中国第1海洋研究所と清華大学研究チームのシミュレーションも韓国における結果とほぼ同じとなっている。
IAEAも先月発表した最終報告書で「排出地点から3キロ沖合ではトリチウムは自然レベルになる」と予想している。特にIAEAは「ALPSで処理された汚染水がパイプの故障あるいはタンクの故障で海水で希釈されずに流出したとしても、それでも大きな問題はない」と予想している。IAEAは「海産物を長期間、大量に摂取する場合を仮定しても、放射性物質に被ばくするレベルは年間の自然放射線の100分の1に過ぎない」と説明した。
実際に2011年の福島原発事故後も韓国周辺で海洋放射能濃度に大きな変化はなかった。福島原発事故当時は基準値以上の大量の放射性物質が混じった汚染水が処理されない状態で海に放出されていた。これに対して今回の放出は事故当時とは違い、日本による汚染水処理を経て出されるもので、韓国での影響は事故当時に比べてはるかに小さいと研究者らは予想している。
ユ・ジハン記者