実際、文在寅・前大統領は2017年12月の中国訪問時に北京大学で演説を行い「光州市には中国人民解放軍歌を作曲した韓国の音楽家、鄭律成を記念する『鄭律成路』がある。今も多くの中国人が『鄭律成路』にある彼の生家を訪れている」とし、「鄭律成」を中国との連環にしようとした。
文政権が大統領訪中の直後、鄭律成を国家有功者にしようと素早く動いたのは、「習近平主席の答礼訪韓」を意識したからだという話も出ている。後に習主席が韓国を訪れた際に光州の鄭律成路や鄭律成記念館などを訪問させ、光州と鄭律成を韓中親善の「本場」と「人物」にしようという下絵を描いていたというのだ。
だが文政権は、2018年に報勲処で鄭律成褒賞が否決という形で一段落すると、翌19年に、6・25南侵の功績により北で勲章をもらった金元鳳(キム・ウォンボン)の叙勲に乗り出した。義烈団長にして朝鮮革命幹部学校長だった金元鳳は、本名が鄭富恩(チョン・ブウン)という鄭律成に「音楽で成功せよ」という意味で「律成」という名前を付けた人物だ。文・前大統領は、各種の批判にもかかわらず、金元鳳を「国軍のルーツ」だと公に発言し、彼を有功者にしようとしたが、一部の審議委員が「韓国を赤化統一しようとした金日成(キム・イルソン)政権の反逆者を韓国の国家有功者として褒賞することはできない」と抵抗し、白紙になった。
ある政界関係者は「金元鳳と鄭律成は6・25戦争のとき、人民軍と中共軍が勝つことを切に望んでいた人々」だとし「左派、右派を問わず、韓国政府を否定した人々を韓国政府において褒賞されるようにしようとするのはどういう意図なのか疑問がある」と語った。
盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者