「北朝鮮」「西朝鮮」と現代韓国の「後期朝鮮」【コラム】

左派の前近代性が韓国の現代性と各所で衝突し、妥協不可能な陣営対立を生んでいる
「現代韓国」の中に「後期朝鮮」あり

 戦略的親中はぜひとも必要だ。しかし韓国左派の親中は、合理性を超えた盲目的追従に近い。あの口数多い学生運動出身左派が、ただの一度でも中国の嫌がることを言ったという話を聞いたことがない。中国が「台湾侵攻」の脅しをかけても、香港民主化デモを武力鎮圧しても、少数民族の人権をじゅうりんしても、果ては習近平の「韓国は中国の属国」発言が伝えられても、一言の抗議もなく沈黙した。中国の経済報復の前でも韓国政府のせいにして、一部の団体は被害者のロッテに押しかけてデモをした。それでいて日本に対しては、若干のきっかけさえあれば大声を上げて「竹やり歌」うんぬんと言う。性理学の華夷論のように、日本を「辺境のオランカイ」側と見なしているからなのかもしれない。

 駐韓中国大使が野党代表を座らせておいて一席の説教をぶつという光景は、時代劇のワンシーンのようでもあった。中国大使の傲慢(ごうまん)さは目を覆うほどのありさまだが、それ以上にあきれてしまうのが李在明(イ・ジェミョン)代表の低姿勢だった。忍耐心とはほど遠い毒舌家スタイルの李代表が、この日は黙々と席に座り、15分に及ぶ説教を傾聴した。相手が日本大使、米国大使であったなら決してそうではなかったろう。だから一層、見るに耐えない。

 19世紀衛正斥邪派は、外の世界の現実を否定した。西欧列強の侵奪の前でも、世界は中国を中心に回っていると信じた。21世紀の韓国左派も、グローバルな秩序の流れを読み誤っている。普遍的価値を追求する自由・民主の主流陣営ではなく、独裁・権威主義へ向かう中国の側に立つべきだと主張する。帝国主義的な膨張欲求を盛り込んだ「中国の夢」に賛同するという言葉すらためらわない。時代に逆行するこの人々に向けて、少壮の中国研究者チェ・チャングン(中国戦略研究所責任研究員)は「後期朝鮮」の人間たちだと一喝した。韓国(Korea)に生きていながら「朝鮮(Chosun)のDNA」を持っている、というわけだ。

 「現代韓国」の中に「後期朝鮮」がある。国はグローバルな先端を走っているのに、巨大野党は「洋服を着た士大夫」勢力に支配されている。今、韓国が直面している終わりなき陣営対立は、この奇異な二重性に起因する。左派の前近代性が韓国の現代性と衝突し、到底妥協できない亀裂を作っているのだ。

朴正薫(パク・チョンフン)論説室長

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  • ▲6月8日、中国大使公邸を訪れた李在明・民主党代表の隣で、ケイ海明大使が準備済みの原稿を取り出して発言している。/写真=国会写真記者団

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