「尖閣諸島報復」再び? 中国人が日本ツアーキャンセル・日本製品ボイコット

 福島原子力発電所が汚染水(日本は「処理水」と表記)の海洋放出を開始した24日以降、中国で反日感情が高まっている。中国人による日本団体観光ツアーの予約取り消しが相次ぎ、店では日本を連想させる広告コピーや商号を隠している。中国のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「微博(ウェイボー)」では「日本製品不買リスト」が飛び交い始めた。中国にある日本大使館は自国民に「日本語を大声で話すな」と呼びかけている。

【写真】天津市内のすし店で、窓に貼られた「日本の職人の技」という言葉を隠す店員

 中国全土では、日本に行く団体ツアーの予約キャンセルが増えている。中国メディア「第一財経」が26日に報道したところによると、同日、Ctrip(シートリップ=携程)・Tuninu(途牛=トゥニウ)・Lvmama(驢媽媽=ルイママ)など中国の大手オンライン旅行サイトでは日本ツアーの広告バナーなどが目立たない位置に移された。中国のある大手旅行会社の関係者は「ここ数日間、日本団体ツアーのキャンセル受付数が大幅に増えた」「国慶節(10月1日)連休期間に日本へ行く予定だった顧客が離れ始めた」と語った。中国人の日本団体旅行は2020年1月から新型コロナウイルス感染症を理由に禁止されてきたが、今月10日に再開された。新型コロナ禍前の2019年に日本を訪れた外国人のうち、中国人の割合は約30%(959万人)に達していた。

 中国では日本製品不買の動きも見られる。微博では27日、人体に有害だとされる日本の食品・化粧品・育児用品リストが拡散されていた。「日本に報復するために全国的に日本製品不買運動をすべきだ」という投稿もあった。北京市内の日本食レストランや魚料理の店は入り口に「日本の水産物を使っていない」「大連・福建など中国産の水産物だけを使っている」などの貼り紙をした。天津市内のあるすし店は窓の内側に貼ってあった「日本の職人の技」という言葉を紙で隠した。

 中国にある日本大使館は汚染水の海洋放出が始まった24日、「中国で日本人がトラブルに巻き込まれた事例は確認されていないが、予測できない事態が発生する可能性も捨てきれない」として、中国国内の自国民に注意を呼びかけた。25日には「外出する際は不用意に日本語を大きな声で話さない」よう、注意を呼びかけた。中国国内の日本人や日本の団体を対象に無差別の抗議電話攻撃が行われるや、これについて中国政府に協力も要請したとのことだ。日本大使館は万一の事態に備えて26日に開催する予定だった日本人ピアニストによるコンサートも延期した。

 一部には、「2012年の日本による尖閣諸島(中国名:釣魚島)国有化宣言以後、中国で発生した大規模反日デモが再来するのではないか」との懸念もある。当時は反日デモ隊が中国国内の日本企業の工場10カ所余りで器物を損壊したり、日本製自動車販売店に火をつけたりした。ただし、日本の今回の汚染水海洋放出は特定国家を狙った行為ではなく、中国政府も自国民の「汚染水パニック」は望んでいないため、当時のような極端な事態が発生する可能性は低いものとみられている。

北京=李伐チャン(イ・ボルチャン)特派員

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