いま韓国にとって切実な国家興亡に対する感覚【コラム】

韓国の政治家は歴史の敗残兵、あるいは世界の落後兵への道を進んでいないか
だとすれば目の前の鏡に映るあなたの顔に唾せよ

 大国と小国の間にある韓国にとって今切実に求められることは「歴史の興亡への感覚」だ。大国が1回逃したチャンスを2回目、3回目は逃さなかった理由は、その社会でこの「興亡の感覚」が失われなかったからだ。西洋人は興亡の感覚を1000年の帝国であるローマの歴史から学んでいる。欧州でフランス革命の足音が聞こえ、米国から独立戦争の知らせが伝わってきた時代に英国の歴史家エドワード・ギボンは20年かけて「ローマ帝国衰亡史」を執筆した。最初に数百部印刷されたこの本はその半分をトーマス・ジェファーソンなど植民地時代の米国の指導者が購入した。ドイツの歴史家テオドール・モムゼンはドイツ統一が近づき欧州の騒がしかった1850年代、50年の歳月を「ローマ帝国史」の執筆に投入した。

 国が混乱と危機を迎えた時代に彼らはなぜローマの歴史にそこまで執着したのだろうか。興亡に対する感性なしには危機を危機として、あるいはチャンスをチャンスとして認識できないからだ。危機に対する意識と興亡に対する感覚が鈍ってしまうと、米国や英国でさえその後何度もチャンスを逃し危機を大きくした。最強の大国である米国の足下には、過去に逃したチャンスと認識できなかった危機の代償が今も積み上げられている。中国では鄧小平と習近平の興亡の感覚の違いが「伸びる中国」と「壁にぶち当たった中国」の違いを生み出した。

 韓国も今や長く続いた小国の衣を脱ぎ、新たな運命を開拓すべき時を迎えている。今はその最後の機会だ。しかし今ここで「混乱を助長する勢力」が「混乱を抑制する勢力」に勝ってしまうと全てが無駄になる。いわば「千載一遇のチャンス」であると同時に「無間地獄の入り口」でもある。興起の機運と没落の兆しが激しく混在しているとも言えるだろう。チャンスを足蹴にして自ら危機を招き入れてしまえば、歴史の敗残兵・世界の落後兵になってしまう。政治をする人間たちよ、そうなってもよいのなら、まずあなたの目の前の鏡の中の自分の顔に唾を吐きかけよ。

姜天錫(カン・チョンソク)顧問

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