2022年韓国大統領選巡るフェイクニュースの裏側にも政治ブローカー・検察・KBS・MBCがいたのか【9月5日付社説】

 韓国・京畿道城南市の大庄洞開発で中心的存在だった金万培(キム・マンベ)氏が、大統領選直前にフェイクニュースで政治工作を行っていた形跡があることを検察が把握したという。2021年9月、金氏は申鶴林(シン・ハクリム)元全国言論労働組合(言論労組)委員長と会い、「尹錫悦(ユン・ソンニョル)候補が2011年の釜山貯蓄銀行事件捜査で、大庄洞開発の融資ブローカー、チョ氏に会い、コーヒーをいれて事件をもみ消した」という虚偽インタビューに応じた。その後、金氏はチョ氏に「私がとんでもない方向に事件を持っていくので、あなたはただ知らないふりをしていればよい」と語ったとされる。当時民主党と李在明(イ・ジェミョン)イ候補は「尹候補コーヒー疑惑」を掲げ、「大庄洞事件は李在明ゲートではなく尹錫悦ゲートだ」と主張した。その主張の根拠が全て捏造(ねつぞう)だったことが明らかになっている。

【世論調査】「大庄洞疑惑は事実上、尹錫悦大統領を巡る疑惑だ」韓国人のフェイクニュース認識度

 金万培氏は申鶴林氏にフェイクニュースを提供した後、約1億6000万ウォン(約1780万円)を渡し、チョ氏にも口止めした。しかし、チョ氏は同年11月の検察取り調べに対し、「私が会ったのは尹錫悦検事ではなくP検事だ」と供述した。それでも当時の「文在寅検察」は黙殺した。検察がフェイクニュース捏造に加担したのだ。

 李在明候補はテレビ討論で尹候補に「なぜチョ氏にコーヒーをいれたのか」と質問し続け、フェイクニュースを既成事実化しようとした。大統領選3日前、金万培氏のインタビュー録音をインターネットメディアのニュース打破が報道し、それをKBS、MBCなどが追随した。MBCは4本も割いて伝えた。今も「大庄洞事件は尹錫悦ゲート」という荒唐無稽な言葉を信じる人が国民の40%に達するという調査があるが、その根源はそこにある。

 大統領選直前にフェイクニュースをまき散らして勝負を覆そうとした事例は一度や二度ではない。02年の大統領選当時、金大業(キム・デオプ)氏が李会昌(イ・フェチャン)候補の長男の兵役不正疑惑を指摘した。当時もKBSは大統領選期間に、9時のニュースの大統領選報道の71%を金大業氏関連の内容に充てた。MBCも同様だった。しかし、暴露録音テープは捏造だったことが明らかになった。金大業詐欺劇にも友情出演した検事も複数いた。しかし、李候補は落選した後だった。07年には李明博(イ・ミョンバク)元大統領の「BBK株価操作説」もKBS、MBCが連日疑惑を膨らませ、結局特別検事による捜査にまで発展したが嫌疑なしとなった。後で再調査も行ったが、結論は同じだった。

 大統領選でのフェイクニュースは、国民を欺く国家的詐欺だ。後で虚偽と判明しても、大統領選の結果を覆す方法はない。うそつき詐欺劇を演じてでも権力を握りさえすればよいのだ。こうした工作が昨年の大統領選挙でもあった疑惑が高まっている。今回も政治ブローカーや検察、KBS、MBCなどの登場機関が共通している。真実を徹底的に究明し、韓国政治最大の悪習である大統領選でのフェイクニュースが繰り返されないよう、悪循環を断ち切らなければならない。

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲2022年3月7日にMBC「ニュースデスク」で「金万培『尹錫悦が見逃した…事件がなくなった』」などと報じている/MBC
  • 2022年韓国大統領選巡るフェイクニュースの裏側にも政治ブローカー・検察・KBS・MBCがいたのか【9月5日付社説】

right

あわせて読みたい