金正恩氏 プーチン氏との会談で労働者派遣など議論か

【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)が来週ロシアを訪問してプーチン大統領と会談するとみられているなか、首脳会談が実現すれば軍事面だけでなく経済面でもロ朝の結びつきが強まる見通しだ。兵器取引や合同演習など軍事面の協力を優先しながらも、米国を中心とする国際社会から厳しい制裁を受けている両国が経済面で実利を得ようとするとの分析が出ている。

 会談で予想される議題のひとつが、ロシアに滞在する北朝鮮労働者の問題だ。国連安全保障理事会の制裁決議に基づき、海外に派遣された北朝鮮労働者は全て本国に戻らねばならないが、ロシアには極東地域を中心に数千人の労働者が今なお滞在しているとされる。

 北朝鮮は外貨獲得のため労働者派遣の増加を望むと予想され、ウクライナ侵攻に大勢の若者を動員したロシアも労働力不足を補うため北朝鮮の労働者を必要としている。利害が一致していることから、両国が安保理決議違反に当たる北朝鮮労働者派遣の拡大に合意する可能性は小さくない。

 ロシアから北朝鮮への食料輸出拡大も議論が予想される。なかでも小麦の貿易が増える可能性が注目されている。

 金正恩氏が2021年の最高人民会議(国会に相当)での施政演説と党中央委員会総会で住民の食生活を「白米」と「小麦粉」中心に変えると表明して以降、北朝鮮は各地に小麦粉加工工場を建設し、小麦粉を使った食品の生産も増やしている。ロシアにとっても、国際社会の制裁で穀物の輸出先確保が難しくなっているなか、絶対的な量は少ないとしても北朝鮮への輸出は新たな活路になり得る。

 ロ朝貿易活性化の見通しとあわせ、従来の貿易拠点も注目されている。

 北朝鮮は今年5月、ロ朝貿易の拠点である羅先経済貿易地帯(羅先経済特区)の宣伝に乗り出し、米政府系メディアのボイス・オブ・アメリカ(VOA)は先ごろ衛星画像を基に、同特区の羅津港で異例の大型船舶が捉えられたと伝えた。

 韓国・統一研究院の洪珉(ホン・ミン)北朝鮮研究室長は「北とロシアの海上合同訓練や海軍関連の軍事交流が貿易拠点だった主要港湾を中心に行われる可能性があり、共同で港湾を開発することもあり得る」と指摘している。

 また、北朝鮮は観光産業の再開に意欲を示しており、首脳会談での議論を踏まえて将来的にロ朝間での航空便運航などの措置が取られる可能性もある。

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