韓国国会で脱北の元駐英公使・太永浩議員に向かって「ごみ」「反逆者」と攻撃した共に民主党の議員たち【9月8日付社説】

 かつて北朝鮮外交官だった韓国与党・国民の力の太永浩(テ・ヨンホ)議員が国会での質疑で野党・共に民主党議員から「ごみ」などと侮辱を受けた。今月6日の質疑の際、太議員は北朝鮮人権財団発足を7年にわたり妨害している共に民主党を批判し「共に民主党は民主という名称を使う資格もない政党だ」「これがすなわち共産全体主義への盲従だ」などと指摘したためやじを受けたのだ。共に民主党議員からは「北朝鮮からごみが出てきた、ごみが」「反逆者だ」「アカが言うべきことではない」などのやじが飛び交ったという。

【動画】「北朝鮮のごみ」発言、太永浩議員の抗議訪問で修羅場と化した李在明代表断食テント

 太議員の過激な反応も事態を悪化させたようだ。「ごみ」発言に怒りをあらわにした太議員は共に民主党議員らが座る席を指さしたため、与野党議員らの間で騒ぎが激しくなる数々のやじが飛び交った。太議員は共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表が断食しているテントに行き、やじを飛ばした共に民主党議員への処分を要求した。その場で共に民主党関係者とはもみ合いになった。

 このようにたとえ与野党があからさまに激しく対峙(たいじ)する状況であっても、命懸けで脱北し、韓国で同じ国会議員となった太議員に「ごみ」「反逆者」「アカ」などと言えるだろうか。「ごみ」は北朝鮮当局や国営メディアなどが脱北民に対してよく使う言葉だ。1997年に亡命したファン・ジャンヨプ労働党書記を北朝鮮が「人間のくず」と侮辱したのが最初で、その後は脱北民に対して何度も同じような言葉を使っている。

 かつて運動圏(左派の市民学生運動勢力)メンバーだった共に民主党議員は10年以上前、脱北した大学生の面前で直接「変節者」と侮辱したが、今回の問題はこのことを思い起こさせるものだ。この議員の心の中の祖国は「北朝鮮」であり、だからこそ脱北民に対して堂々と「変節者」と言えるのだ。この問題で脱北民社会全体が衝撃を受けた。命懸けで北朝鮮から脱出したにもかかわらず、韓国の地で北朝鮮を擁護する政治家を目の当たりにした彼らの心情はいかばかりであったか。

 今回太議員を「ごみ」と侮辱した共に民主党議員はかつて全大協(全国大学生代表者協議会)副議長を務めた元運動圏メンバーだ。全大協は北朝鮮の主体思想に追従するグループが支配していた。彼らが脱北民に対して「ごみ」「反逆者」などと侮辱するのをみると、10年以上前に脱北民が「変節者」と批判されたことを再び思い起こす。また主体思想派運動圏が太議員を「アカ」と攻撃するのを見てあぜんとする国民も多いだろう。今回李在明(イ・ジェミョン)代表は「かつて共産党員だった人間に国会議員までやらせて」と口にしたが、これはその共産党に歩調を合わせ、その指示通り法律まで作る人間たちが言うべき言葉ではない。

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  • ▲韓国与党・国民の力の太永浩(テ・ヨンホ)議員は7日午前、野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表が断食をしているソウル汝矣島の国会本館前に設置されたテントに行き、李代表に抗議した。直後に太議員は共に民主党の関係者により外に追い出された。/ニュース1

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