日本はなぜ「釜山万博支持」と言えないのか【コラム】

5年前、韓国は大阪万博を公に支持した
今回は韓国を助けてくれるべき日本が沈黙を守っているのはどういうわけか

 キャンプ・デービッドの韓米日首脳会議から帰国した岸田首相が真っ先に駆け付けた場所は福島だった。現地の漁民と会った後、すぐに閣僚会議を開き、汚染水放流を決定した。韓米首脳の了解を取ったかのようなそぶりを見せたのだった。当初、岸田首相は汚染水問題をキャンプ・デービッドの議題に上げようとまでした。その負担が、圧倒的な反対世論に苦しむ尹大統領に向かうことは避けられない。日本自身が解決すべき問題にたびたび韓国を巻き込んで責任を分担させようとする挙動がひきょうに感じられるのは、どうしようもないことだ。

 韓日間の最大の懸案だった強制徴用者問題で、尹政権は「第三者弁済」で問題を解決した。韓国企業の資金で先に賠償を行った後、「戦犯企業」の参加を誘導するという案だ。ところが6カ月たっても日本企業は一言の反応すら見せずにいる。岸田政権が、国内世論を意識して企業の参加を阻んでいるという推測が出ている。日本側は、自分たちなりに気遣っていると言うが、韓国側の期待値には到底届いていないというのが事実だ。

 9月1日までソウルで開かれていた「韓日フォーラム」で、日本政府は「2030釜山万博」を公に支持すべきだという専門家の提案が出た。その話を聞いて、実はちょっと驚いた。なんと、日本の支持表明がなかったというのか。5年前の「2025大阪万博」誘致戦のとき、韓国は当時の李洛淵(イ・ナクヨン)首相が公に発言して日本を後押ししてやった。今回は日本が助けてくれる番だと期待するのはあまりにも当然だ。

 しかし、万博開催地決定が2カ月後に迫った今に至るまで、日本は何も言わない。水面下ではサウジを推しているという話まである。尹政権が「日本の代弁者」とまで言われながら助けてやったのに、日本がよその国の側に立つとしたら、道義にもとる。韓国としては、後ろから殴られたという背信感情を抱くほかない。

 韓日和解の局面が再開されて以降、両国の反応は「不安」と「不満」に要約できる。日本は韓国がまた変わってしまうのではないかと不安に思っているが、韓国は日本の呼応が生ぬるいのがとりわけ不満だ。「万博相互支援」のような基本中の基本的協力すらためらうのであれば、日本の真心が疑われることは避けられない。

朴正薫(パク・チョンフン)論説室長

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