金正恩総書記、専用列車で訪ロ…動く要塞「最高尊厳」専用客車は装備充実

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が今回のロシア訪問に利用する専用列車には数々の装備や設備が設置され、文字通り「要塞(ようさい)」と言われている。北朝鮮メディアが昨年10月に放映した記録映画には金正恩氏の特別列車内部の映像が映し出されていた。その中で金正恩氏は会議用のテーブル、ノートパソコン、パソコン用モニターや電話機などが設置された「動く執務室」で幹部から報告を受けていた。2018年に金正恩氏が中国を訪問した際にも特別列車内部の映像が公開されたが、その時は応接室とみられる空間に高級床材、ピンクの皮のソファ、中国の政治指導者が映る大型スクリーンなどが目についた。

【写真】朴正煕から金大中まで32年間韓国大統領を乗せた専用列車

 金正恩氏の父の故・金正日(キム・ジョンイル)総書記が2001年にロシアを訪問した当時、3週間にわたり専用列車に乗ったコンスタンティン・プリコフスキー元ロシア極東連邦管区大統領全権代表は2002年、「東方特級列車」という書籍で列車の内部を紹介した。この書籍には「宿泊専用車両、会談場、食堂、金正日総書記専用のベンツ2台を見た」との記載がある。プリコフスキー氏は「プーチン大統領の専用列車よりもはるかに居心地が良かった」とも伝えている。

 列車には衛星通信設備もあり、電子地図が映し出されるスクリーンの地図には移動経路が表示され、通過する各地域の特色、経済の現状、角が付いた皮革の数まで画面に映し出されるという。別の客車2両には警護のためロシア側から派遣された50人以上のスナイパーが別れて乗っている。武器も同時に運搬されているという。

 専用列車はたびたび「防弾列車」などと呼ばれるが、実際は全てが防弾仕様ではないようだ。防弾用の鉄板が張られているのは「最高尊厳」専用の客車だけで、それ以外は通常のディーゼル車両という事実も上記の書籍に記されている。韓国政府の当局者は「金正恩氏が今回利用する列車も専用の客車だけが防弾仕様だ。全てが防弾だと重すぎるので、移動が非常に難しくなる」と説明した。

 専用列車のスピードは非常に遅い。列車の重量が重く、ロシアと北朝鮮両国の線路の状態が非常に良くないからだ。そのため今月10日午後に平壌を出発した金正恩氏がロシアのハサンに到着するまで2日かかった。ロシアと北朝鮮で鉄道の現地調査を行った北朝鮮経済フォーラムのアン・ビョンミン代表は「北朝鮮の線路はもちろん、ロシアのハサンからウラジオストクまでの320キロも、ハサンからバラノフスキーまでの区間はロシア国内でも老朽化が最もひどい区間で、最高速度は時速50キロ以下だ」と説明した。

キム・ミンソ記者

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  • ▲ロシアを訪問するため専用列車に乗り込む北朝鮮労働党の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長。見送りに出た関係者らと握手を交わしている。10日午後撮影。/朝鮮中央通信、聯合ニュース
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