大庄洞事件は「コーヒーゲート」だなんて【コラム】

大庄洞事件は「コーヒーゲート」だなんて【コラム】

 昨年2月22日、共に民主党の安敏錫(アン・ミンソク)国会議員は「大庄洞事件は2011年のコーヒーから始まった『コーヒーゲート』だ」と述べた。今はニュース打破に転職した当時のJTBC記者が「2011年に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大検察庁課長が大庄洞の融資ブローカー、チョ・ウヒョン氏に直接コーヒーをいれて、捜査に手心を加えた」という「尹錫悦コーヒー」疑惑を報じた翌日だった。大庄洞事業の融資段階で尹錫悦検事がお手盛り捜査を行い、大庄洞の伏魔殿を招いたため、「大庄洞の本丸は尹錫悦」という乱暴な論理だった。

【図】「大庄洞事件は『コーヒーゲート』だ」 フェイクニュースを拡散したラジオ番組司会者たち

 しかし、チョ・ウヒョン氏は尹錫悦検事に会ったこともなかった。フェイクニュースだったわけだが、大統領選で民主党の李在明(イ·ジェミョン)陣営は「コーヒー一杯で覆った尹錫悦ゲートの始まり」(姜炳遠=カン・ビョンウォン=議員)「尹錫悦が直接いれてくれたというコーヒーは1805億ウォンの『大庄洞コーヒー』」(趙承来=チョ・スンレ=議員)「コーヒーをいれて罪を隠したスポンサー検事尹錫悦(朴賛大=パク・チャンデ=議員)」 など総攻勢に出た。

 大統領選に出馬した李在明候補も昨年2月25日、テレビ討論で「チョ・ウヒョンになぜコーヒーをいれたのか」と尹錫悦候補に向かって攻勢を繰り広げた。その後、大統領選3日前の3月6日、ニュース打破は金万培(キム・マンベ)氏の録音記録をつなぎ合わせ、尹錫悦検事が直接コーヒーをいれたかのように報じた。

 金万培氏から1億6500万ウォン(約1830万円)を受け取り、ニュース打破で報じられたインタビューを虚偽で行ったとして、検察が申鶴林(シン・ハクリム)ニュース打破専門委員を捜査しなかったとすれば、真実は埋もれていただろう。「コーヒー」を主張していたニュース打破は今になって「コーヒーが重要なのではない」「コーヒーを誰がいれたとしても、捜査に手心を加えたというのが本質」だと言葉を変えたが、尹錫悦検事の捜査もみ消しもやはり明らかになってはいない。

 2019年のチョ·グク元法務部長官に対する捜査以降、ニュース打破は執拗(しつよう)に「尹錫悦検察総長」を狙った。自分たちが発掘した詐欺前科者「情報提供者X」がMBCに実体のない「検察・メディア癒着」を主張し、尹錫悦、韓東勲(ハン・ドンフン)の両氏をコーナーに追い込むと、ニュース打破は現職警察官から「ドイツモータース株価操作」に関する文書を受け取り、尹錫悦大統領夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏が内偵対象だと報じた。しかし、金建希氏が内偵を受けた事実はなかった。内部文書を流出させた警察官は昨年、厳しい懲戒処分を受けた。それこそ「警察・メディア癒着」だった。

 ニュース打破は詐欺罪で刑務所に収監されている受刑者の口を借り、検察が韓明淑(ハン・ミョンスク)元首相の不法政治資金事件を有罪にするため、受刑者に虚偽の証言をさせたという暴露も行った。文在寅 (ムン・ジェイン)政権の「親文検察」が死力を尽くして捜査したが、金建希氏を株価操作疑惑で起訴できなかったように、これもやはり空振りだった。

 ニュース打破は「尹錫悦コーヒー」虚偽インタビューに対する批判が強まると、フェイクニュースに対する反省ではなく、「言論弾圧」による被害者のふりをしている。「調査報道専門」を自称するニュース打破は「尹錫悦検察=悪」という結論ありきで取材する「政治偏向的調査」が専門ではないのか、怪物を捕まえるために自分たちが怪物になったのではないかを振り返るべきだ。

パク・ククヒ記者

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