笑いあり・涙あり・サスペンスあり…韓国で口コミ上昇中の相撲ドラマ『サンクチュアリ -聖域-』

「尻を見せるのは嫌だったのに力士になった男」

 登場人物同士の関係性も淡泊ながら密度がある。「好感度ゼロ」の主人公より目が行くのは、彼を「見守る人たち」だ。相撲部屋の猿将(えんしょう)親方や先輩力士の猿谷(えんや)、相撲新人記者の国嶋飛鳥、そして清の父・浩二などだ。彼らは登場するほとんどのシーンで主人公を見守っている。当たって砕けて前に進むことができるのは主人公自身だけなので、その少し後ろから見守っているだけで十分だ。体格が自分の5倍ほどある主人公のために、焼き餃子を一つだけ食べて残しておくという足の悪い父を演じた役者の演技は胸にしみる。韓国語タイトルは『リキシ』だが、原題は『サンクチュアリ -聖域-』だ。聖域とは、相撲の取組を行う「土俵」であり、自分の人生を懸けた対象のことでもある。ドラマの後半部ではそれぞれ自分の聖域に対する心構えについて語ろうとしているように感じる。相撲のベテラン記者は「力士が取組前に土俵に向かって頭を下げるときの腰の角度だけ見ても、どちらが勝つか分かる」と話す。態度で勝者か敗者かが分かれるということだ。主人公にもこうした態度や姿の変化が現れる。

 決して相撲を美化するドラマではない。非人間的な稽古のやり方、誤った慣習、八百長のような恥部まですべて見せている。しかし、時代が変わったからといって、すべての伝統を壊す必要はないと語りかける。「土俵に女は入れない」と言われて怒る後輩記者の国嶋に、ベテラン記者はこう言う。「その異常(女人禁制という旧時代的な慣習)の先にしか見えてこない世界があるんだよ」。このような観点こそ、伝統を素材にした日本のドラマが着実に作られている力なのだろう。

キム・ミンジョン記者

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