住宅価格・所得の統計を改ざん…文在寅政権は国民をだましていた

監査院、張夏成氏・金尚祚氏・金賢美氏ら22人の検察捜査要請

 文在寅(ムン・ジェイン)政権時の2019年7月初め、マンション価格統計を出す韓国不動産院=旧:韓国鑑定院=のキム・ハッキュ院長は世宗市の国土交通部庁舎に呼び出された。韓国不動産院は国土交通部傘下の公企業だ。同院長は当時のパク・ソンホ第1次官と住宅土地室長に順に会い、院長職から退くよう要求された。「ろくに協力しない」というのが理由だった。韓国不動産院住宅統計部長も国土交通部住宅政策課長に呼ばれ、「協力しないなら韓国不動産院の組織と予算をふっ飛ばしてやる」と言われた。

 国土交通部が要求した「協力」とはマンション価格統計の改ざんだった。前年9月13日に打ち出された不動産対策以降、下落傾向にあったマンション価格が再び上昇し始めたという統計が事前に報告されたことから、上昇率を実際より低くして発表するよう迫ったのだ。国土交通部は青瓦台から「住宅価格『上昇率』管理を徹底せよ」と指示されていた。監査院は「青瓦台は2017年6月から韓国不動産院の公表前の統計を事前に受け取り、統計の数字が政府(当時の文政権)に不利に出るたびに国土交通部と韓国不動産院に圧力を加えていた」と今月15日に明らかにした。韓国不動産院は2019年6月末から8月初めまで、毎週「ソウルのマンション価格は前週比0.02%ずつの上昇にとどまっている」と改ざんされた統計を発表していた。

 監査院によると、文政権は文在寅氏が大統領に就任した翌月の2017年6月から退任する6カ月前の2021年11月までの4年5カ月間、住宅価格、所得、雇用に関する政府公式統計を改ざんしていたという。韓国不動産院が週1回発表する「週間マンション価格動向」統計は94回以上改ざんされた。統計庁の「家計動向調査」と「勤労形態別付加調査」統計も青瓦台の指示によって統計庁が統計算出方式を変えたり、「今の統計には問題がある」という趣旨の報道資料を出したりしたことが調査で分かった。

 改ざんされた統計は不動産政策と「所得主導成長」政策の失敗を隠すのに使われた。住宅価格の上昇が下落に、所得分配の悪化が改善にすり替えられた。文前大統領と当時の政府高官らは、改ざんした統計をもとに、「政府の政策が効果を上げている」と国民にウソをついた。

 監査院はこれに関連し、文政権時の青瓦台政策室長だった張夏成(チャン・ハソン)氏、金秀顕(キム・スヒョン)氏、金尚祚(キム・サンジョ)氏、李昊昇(イ・ホスン)氏の4人全員と、経済首席秘書官だった洪長杓(ホン・ジャンピョ)氏、雇用首席秘書官だった黄悳淳(ファン・ドクスン)氏、国土交通部長官だった金賢美(キム・ヒョンミ)氏、統計庁長だった姜信ウク(カン・シンウク)氏ら22人を統計法違反と職権乱用、業務妨害で検察に捜査を要請したことを発表した。監査院はこれらの人物が統計改ざんを指示したり、圧力を加えたりしたことを裏付けできる統計基礎資料、関連機関職員の陳述、オンライン・メッセージ・アプリによる対話内容など2万ページ以上にわたる証拠を集めたことも明らかにした。

 国家統計は国の現状を示し、国民と将来の世代のための政策を立てる基礎資料で、国連や経済協力開発機構(OECD)などの主要国際機関にも提供される。政権の政治的利益のためにこうした資料を毀損(きそん)あるいは改ざんするという行為がこれまで行われてきたのは、共産主義国や経済危機直前のギリシャなどの「失敗国家」だけだった。現在の韓国大統領室や与党・国民の力は「深刻な国の綱紀の乱れであり、国政の壟断(ろうだん=自分の都合の良いようにして利益を独占すること)だ」と述べた。一方、文政権の主な関係者たちの集まりである「四宜斎(サウィジェ)」と共に民主党は「操作(された)監査だ」と言っている。

キム・ギョンピル記者、キム・サンユン記者

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  • ▲写真=左から文在寅(ムン・ジェイン)政権時の青瓦台(大統領府)政策室長だった金秀顕(キム・スヒョン)氏、金尚祚(キム・サンジョ)氏と、国土交通部長官だった金賢美(キム・ヒョンミ)氏。

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