ソウル大学「習近平資料室」存続のために? 中国大使館が高価な書籍を寄贈

反中感情を受け閉鎖を求める声が相次ぐソウル大学中央図書館の習近平資料室

中国大使館、今月初めに1400万ウォン相当の貴重な古書を寄贈

ソウル大学「習近平資料室」存続のために? 中国大使館が高価な書籍を寄贈

 駐韓中国大使館が今月初め、ソウル大学中央図書館の「習近平資料室」に1400万ウォン(約155万円)相当の美術史学・考古学関係の書籍を寄贈することを決めた。内訳は明画全集(明の時代の絵画全集)や清画全集など5種22部で、美術史や文化史研究の重要な資料となる。これらは韓国で入手するのは難しく、価格も高額なため購入も簡単ではないが、それを中国大使館が気前よく寄付を申し出たのだ。ソウル大学図書館の習近平資料室については最近の反中感情を受け閉鎖を求める声も上がっている。今回の寄贈は同資料室を維持させるため中国大使館が動いたものとみられる。

 ソウル大学は17日、「明画全集」「清画全集」の寄贈について「ソウル大学側の要請により実現した」と明らかにした。中国大使館はこれまで自分たちが勝手に選んだ書籍を一方的に送りつけてきた。2015年にソウル大学中央図書館に習近平資料室ができた後から複数回にわたり書籍などが寄贈されたが、これらは中国大使館側が直接選んだものばかりだったため、中には学術関係の書籍ではないものも数多く含まれているという。それが今年に入ると、図書館側が必要な書籍を中国側に要請すれば、中国大使館がこれを寄贈する形に変わった。図書館関係者は「貴重な書籍や高価な書籍、利用者が希望する書籍など図書館が必要とする書籍や資料を中国大使館が寄贈する方向で協議を行った」と伝えた。

 習近平資料室の図書寄贈方式が見直された背景には、韓国国内における最近の反中感情が影響したとの見方が支配的だ。習近平資料室は2014年に習主席がソウル大学で講演した直後、1万52点の中国関連書籍や映像資料を寄贈したことを受けてできた。ところが昨年10月に国会で「資料室の名称が不適切」「韓国は中国の属国だったと発言し、韓国の歴史をわい曲する中国の最高指導者を称えても良いのか」などの指摘が上がった。その後は市民団体はもちろん、ソウル大学同門会まで資料室の閉鎖を要求するようになった。

 ソウル大学は韓国国内の批判的な世論をかわし、中国との外交摩擦も同時に避けるため習近平資料室への寄贈方式変更を中国側に提案したという。ソウル大学の関係者は「中国側も閉鎖を求める声を意識し、こちらの意見を受け入れたようだ」「いずれにしても資料室が大きな問題なくうまく活用されることが互いにとってウィン-ウィンではないか」とコメントした。

 ソウル大学は習近平資料室で問題になりそうな書籍を「特別管理対象」に分類したという。ソウル大学のチャン・ドクジン中央図書館長は「今年上半期に習近平資料室所蔵書籍の全数調査を行い、歴史わい曲、中国共産党体制の合理化、習主席を称賛するものなど11種類を選別し、別途管理している」「今後も現代以前の中国関係の学術図書を中心に寄贈を要請する計画だ」と説明した。

朴正薫(パク・チョンフン)記者

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