韓国政府が戦闘工兵車「K600」2両をウクライナに提供する。K600の愛称は動物のサイを意味する「コップルソ」。K600は主に後方での地雷除去や、前方の地雷が埋められた地域で通路を確保する際に用いられる。殺傷兵器ではないが、必要な場合は敵の防衛ライン突破に使用されることから、これまでウクライナに提供された軍用車両の中では最も強力だという。
【動画】車体前面の鋤で地雷除去…韓国製戦闘工兵車「K600」、ウクライナに2両支援
ある韓国政府筋は17日「韓国政府はウクライナに旧式の地雷探知機をすでに提供しているが、これに加えて2両の戦闘工兵車も早期に提供することが先日事実上決まったようだ」「これはウクライナ政府の強い要請と尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領によるウクライナ支援の約束によるものだ」と説明した。
尹大統領は今年5月に日本の広島G7(主要7カ国)サミットでウクライナのゼレンスキー大統領と首脳会談を行い、地雷除去車両など非殺傷兵器の提供や戦後の復興支援などを約束した。尹大統領は今年7月にウクライナを電撃訪問したが、その際にもウクライナが強く求める地雷探知機や地雷除去車両の支援をさらに拡大する考えを伝えた。韓国政府による今回の決定には北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長によるロシア訪問、そしてプーチン大統領との首脳会談などで北朝鮮によるロシアへの弾薬支援拡大などが予想されることも影響したという。
K600は韓国軍戦車K1A1の車体に地雷除去用の鋤(すき)や掘削アームを搭載したもので、地雷はもちろん、さまざまな障害物を除去し通路を確保する際に使用される。車体前面の鋤で地面を掘り返して埋設された地雷を探し出し、また地雷に磁気を発して除去する装備で5メートル先の地雷を突き止めることもできる。韓国政府はロシアの反発などを考慮し、K600を使用する際には後方での地雷除去など人道面での使用に限定するようウクライナに要請する方向で検討している。ウクライナでは25万平方キロメートルの広大な土地にロシア軍が地雷を埋設し、人命被害はもちろん農業にも大きな問題が出ているという。これは韓半島全体の面積(22万平方キロメートル)よりも広い。
ユ・ヨンウォン軍事専門記者