借款で運営権奪った中国「一帯一路」10年…23カ国が破綻危機(下)

借款で運営権奪った中国「一帯一路」10年…23カ国が破綻危機(下)

 一帯一路が発展途上国という「すき間市場」を開拓できたのは、「パックス・アメリカーナ」の限界に食い込んだためだという分析もある。第2次世界大戦後の東アジアへの大規模な米軍駐留は批判も生んだが、北朝鮮・中国などの敵対国から韓国、日本、台湾を守る「盾」の役割を果たし、爆発的な経済成長につながったと評価されている。しかし、中南米諸国のようにパックス・アメリカーナで被害を受けた国々も少なくない。1980年代、中南米に対外債務危機が迫ると、米国はIMF、世界銀行などをテコに新自由主義政策を強制移植した。メキシコ、チリ、アルゼンチンなどは強制的な民営化と市場開放の過程で二極化と雇用不安、エネルギー供給難などの副作用をまともに経験し国力が衰えた。そうした例を見た開発途上国が「内政不干渉」をスローガンに掲げる一帯一路の中国資金を歓迎した形だ。

【図】一帯一路の概要

 独裁と腐敗がはびこるアフリカ諸国も同じ理由で一帯一路に積極的に合流した。アフリカにおける一帯一路参加国は全55カ国のうち37カ国に上る。中国初の海外軍事基地はアフリカ東部のジブチ(17年)に建設された。ニューヨークタイムズは「21年時点で中国の海外への借款規模はIMFの60%に達する」とし、「国際社会における米国の『最後の貸し手(lender of last resort)』の地位を中国が脅かしている」と評価した。

 一帯一路10年の光と影は交錯している。中国の直接的な資金支援に頼らず、技術協力などで利益を得たサウジアラビアなどが代表的な恩恵国に挙げられる。国家規模が比較的大きいロシア、カザフスタン、ブラジルなども中国から10億ドル以上の大規模インフラ建設プロジェクトを誘致し、一帯一路の勝者となった。

 一方、ザンビアは中国の国有銀行から66億ドルを借りたが返済できず、20年に債務不履行(デフォルト)を迎えた。スリランカは債務を償還できず、ハンバントタ港の権益の80%を17年に中国に強制的に譲渡させられた。中国は「明代の鄭和がアフリカ東部まで進出した」という歴史的根拠まで挙げ、アフリカ進出の拠点として取り込んだジブチの対外債務は中国による資金投入の初期(16年)には国内総生産(GDP)の約50%だったが、2年後には85%に上昇し、財政危機に追い込まれた。70%は中国からの借金だった。バイデン米大統領は今年7月、一帯一路を「貸し剥がし事業」と批判した。

 一帯一路の明暗が分かれる中、中国指導部は10周年を機に一帯一路を次の段階に引き上げる計画だ。中国の王毅外相は今月1日、「我々は新たな出発点で高い品格の一帯一路建設を模索する準備ができている」と表明した。中国の次の目標は、一帯一路を通じて得た国際的影響力を自国の利権のために使うことだ。開発途上国のスポークスマンを自任して国際社会で声を高め(米外交専門誌「ディプロマット」)、各国に軍事基地と普及拠点を確保しながら(米民主主義防衛財団)、交通網とサプライチェーンを新たに構築し、米国に対抗するものとみられる。

北京=李伐チャン(イ・ボルチャン)特派員

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