21世紀の民主主義国家の政党で「裏切り者」探しとは【9月25日付社説】

 韓国野党・共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表に対する逮捕同意案を可決後、民主党では賛成票を投じた議員を特定しようとする嵐が吹き荒れている。民主党指導部は連日、「党代表を売り渡した『害党行為者』に対し相応の措置を取る」と追い詰めている。25日を期限とし、李代表の逮捕状棄却を要求する嘆願書を提出しなかった議員は、賛成票を投じたものと見なし、懲戒するという。李在明代表も「党員が叱責して、正してほしい」と呼応した。

 親李在明系の院外組織は非李在明系議員の実名を挙げ、「旧韓末(大韓帝国期)に国を売り渡した売国奴と同じだ。離党させろ」と叫んだ。秋美愛(チュ・ミエ)元法務部長官は親日派と密偵に例え、「これらの勢力を清算してこそ、民主党がよりクリーンで健康になる」と主張した。他の親李在明系議員も「賛成した議員たちは自ら姿を現し、審判を受けろ」と言った。当初民主党は逮捕同意案否決を党議決定していなかった。議員がそれぞれ逮捕の正当性を判断することになっていた。ところが今になってそれを党を害する行為と批判している。

 李代表の熱狂的支持層は、議員全員にメッセージを送り、反対票を投じたかどうかを表明するよう求めている。答えなければ裏切り者という烙印(らくいん)を押すというのだ。逮捕同意案の採決を秘密投票とした憲法の規定まで無視している。まるで共産独裁国家だ。

 一部の人々は「李代表は辞任せず、獄中での決裁と公認、出馬まですべきだ」と主張する。李代表は約10件の違法行為や不正の疑いで検察の捜査を受けており、逮捕状も2度請求された。逮捕状が交付されれば、法的、政治的責任を負って辞任するのが当然だ。にもかかわらず、李代表を守ると言い、議会民主主義の常識すら否定している。

 李代表と親李在明系は、党指導部を親李在明系一色に変える作業も進めている。逮捕案可決の責任を負わせ、朴光温(パク・クァンオン)院内代表を引きずり下ろした。 親李在明系の趙正湜(チョ・ジョンシク)事務総長の辞表は保留したまま、非李在明系の宋甲錫(ソン・ガプソク)最高委員の辞表は直ちに受理した。次期院内代表選挙にも親李在明系の人々が先を争って出馬を目指している。指導部から非李在明系を排除し、親李在明系で満たそうとする動きだ。李代表が逮捕されても、獄中での決裁と公認を保障するための方策とされる。

 国民は李在明代表の逮捕同意案可決を機に、民主党の自省、刷新を期待した。だが、代表1人による支配権を守るための反民主・全体主義政党へと暴走している。民主化闘士でもなく、数千億ウォン(数百億円)台の背任と収賄の疑いが持たれている代表1人のために、68年の歴史を持つ民主党議員130人余りがどうしてこのような非常識な行動を取れるのか納得し難い。

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  • ▲鄭清来(チョン・チョンレ)共に民主党最高委員が22日、ソウル汝矣島の国会で開かれた最高委員会議で、李在明代表の逮捕同意案に賛成票を投じた同僚議員に対して、「党代表を売り渡した」「党を害する行為で容認できない。相応する措置を取る」と発言している。 /ナム・ガンホ記者

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