海外進出した韓国企業の95%「韓国に戻る理由ない」

 学識者と産業界の専門家は「現在海外進出している韓国企業は『中国封鎖』『ロシア戦争』のような極端な事態が起きない限り、韓国に回帰する誘因はない」と指摘する。現地に構築したサプライチェーンとの取引関係を捨て、韓国国内にUターンするには、韓国の高い生産コスト、不確実なインセンティブ制度、強硬な労組などのリスクが依然として存在するためだ。大韓貿易投資振興公社(KOTRA)が昨年、海外に進出した韓国企業734社を対象に行ったアンケートによると、「国内回帰の意向がある」と答えた企業は4.5%(33社)にとどまった。

【図】海外に進出した韓国企業734社を対象に実施したアンケートの結果

 ソウル大の朱栄渉(チュ・ヨンソプ)特任教授(元中小企業庁長)は「Uターン企業の最も大きな進入障壁は国内生産拠点の生産コストの高さだ」とし「円安が長期化し、日本企業は自国への回帰を急いだが、韓国は日本より生産コストが高い割に労働生産性は劣る」と指摘した。高い生産コストと労働生産性低下の要因として、韓国の強硬な労組文化も挙げた。淑明女子大学経営学部の呉ジュン錫(オ・ジュンソク)教授は「戦闘的労使関係が主な競争国に比べて労働生産性が劣る要因だ」と述べた。韓国経済人協会によると、2021年時点で経済協力開発機構(OECD)が集計した韓国の労働生産性は1時間当たり42.9ドルで、米国(74.8ドル)、ドイツ(68.3ドル)、日本(47.3ドル)に比べ大幅に低かった。

 Uターン企業に対する不明確で厳しいインセンティブ制度も問題だ。海外工場を閉鎖して韓国に戻らなければ、Uターン企業として認められない。海外での工場増設計画を韓国国内に変更してもインセンティブを受けられない。実際にA社はベトナム工場新設を取りやめ、韓国に新工場を建てたが、Uターンに該当しないと判定された

 現行の政策が製造業、特に中小企業中心であるため、雇用創出効果が大きい企業が支援から疎外されるとの指摘もある。外国人投資政策では先端産業投資額の50%まで支援することになっているが、リショアリング(生産拠点自国回帰)への補助金は首都圏で150億ウォン(約16億6000万円)、首都圏以外で300億ウォンが限度だ。数千億あるいは兆ウォン単位の投資で動く半導体・バッテリーなどの大手企業が海外の生産拠点を撤収し、韓国にUターンするには誘致策が貧弱と言える。

イ・ジョング記者

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