中国が差し出した手、韓国はどう握るか【コラム】

中国が差し出した手、韓国はどう握るか【コラム】

 「與時俱進」(時代に合わせた行動を)

 中国の習近平・国家主席は9月23日、アジア大会が開催されている杭州で韓国の韓悳洙(ハン・ドクス)首相と会談し、韓中関係発展を呼びかけながらこの言葉を使った。「時期」に合わせて両国関係を再設定すべきという意味に解釈できそうだ。韓国、米国、日本が首脳会議を開き、一方で北朝鮮とロシアも連携を深めている。そのため中国も「韓国に手を差し出す時になった」と判断したようだ。韓米日の中では韓国が弱く、今北朝鮮に圧力を加える手段としても有効との認識があったのだろう。では中国が差し出したこの手に韓国はどう対応すべきか。

【動画】「韓国人選手とコーチが中国人選手をからかった」…中国で拡散された映像

 韓国に対する中国の態度は柔軟になっている。中国外交部(省に相当)の発表にはなかったが、杭州での会談で習首席は「韓国訪問について真剣に検討する」と発言したという。9年以上にわたり韓国を訪問していない習首席が先に自らの訪韓問題に言及したのだ。会談には蔡奇(序列5位)や丁薛祥(序列6位)など常務委員(7人の最高指導部)らも同席した。2017年に当時の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が中国で習首席と会談した際には常務委員らは同席していなかった。

 8月にコロナ後初めて中国を訪問した韓国与党・国民の力所属議員らが中国の副首相や閣僚級の歓迎を受けた。その席で中国側は「韓国の立場を理解する」「韓国との経済協力を強化したい」と述べたという。北京で取材に応じたある議員は「中国は韓中関係改善に前向きな意向を示した。これは意外なことだ」と述べた。今後も李強首相が出席する韓中日首脳会議、あるいは11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)での会議などで開催が見込まれる韓中首脳会談などを通じ、韓中関係に突然の良い知らせが来ると予想する見方もある。

 世界第2位の経済大国である中国との関係改善をためらう必要はないが、それはあくまでその意図を把握した上でなければならない。中国の指導部は今年7月に対韓国政策について内部で討論を行ったという。米国と急速に関係改善を進める尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権とは距離を置きつつも、経済協力は引き続き強化し長期的に韓中関係改善の足がかりを築く方向性が定まったようだ。亜州大学米中政策研究所のキム・フンギュ所長は「韓国に圧力を加えればそれだけ反中感情が高まるため、韓中関係については『管理モード』を稼働させたようだ」との見方を示した。

 中国におけるこのような方向性の設定は韓国の背後にある米国を意識した手段でもある。国立外交院のキム・ハングォン教授は「中国の立場からすると韓米日の連携を可能な限りけん制するための対応であり、さらには『トランプ時代』が再び到来し3カ国の協力が弱体化する状況も念頭に置いた布石だ」と説明した。

 この局面で韓国は中国にとって「近づくには遠すぎるあなた」になるべきと記者は考えている。互いに利益となる経済協力は積極的に推進しつつも、「価値外交」が本気であることを立証しながら韓中関係に新たな一線を引かねばならない。ジョージ・H・W・ブッシュ米中関係基金会のイ・ソンヒョン先任研究委員は「中国が差し出した手を戦略なしに握れば、『韓国はまた中国の影響圏に入った』との批判に直面するだろう」と警告した。

北京=イ・ボルチャン特派員

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 中国が差し出した手、韓国はどう握るか【コラム】
  • 中国が差し出した手、韓国はどう握るか【コラム】

right

あわせて読みたい